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V 言葉遣いの中の敬意表現

1 円滑なコミュニケーションと敬意表現

 社会生活は人と人とのコミュニケーションによって成り立っている。コミュニケーションとは我々が伝えたい情報や,自分自身の考え,気持ちをお互いに伝え合うことである。コミュニケーシヨンを円滑に行うこと,すなわち話し手が伝えたいことを摩擦を起こさずに確実に相手に伝えることによって,社会の中で自分を生かし,安定した社会生活を送ることが可能となる。そのためには言葉遣いの上で次のような工夫が必要である。
 まず,伝えたい内容を正確にまた過不足なく伝えるための工夫がある。例えば,文の主語と述語の的確な対応,理由と結論などの論理的な対応,目的に応じた文章や談話の適切な組立てなどである。
 次に,伝えたいことを平明で的確に表現するための工夫がある。例えば,一般になじみの薄い外来語や専門語などの難解な用語,あるいは整理されていない複雑な談話構成などは避けて,内容を理解しやすい平明な言葉遣いを的確に選ぶことである。
 これらは,主として情報や考えを論理的に述べ,分かりやすく伝えるという面で円滑なコミュニケーションを支える言葉遣いの工夫である。
 ここで取り上げる敬意表現は,以上のような工夫とともに,人間関係を円滑に保ちながら意思疎通を図る上で大切な言葉遣いの工夫である。すなわち,自分自身の考えを言葉で確実に伝えつつ,相手や場面への配慮を示す敬意表現を使うことによって,円滑なコミュニケーションが可能となる。我々は敬意表現によって,人間関係や社会生活をより円滑にすることができるのである。

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