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W 敬意表現についての留意点

[基本的な留意点]

 現代社会におけるコミュニケーションの中で我々が実際に使っている敬意表現は多様なものである。社会が複雑化し人間関係が多様化していることに応じて,相手や場面によって使い分ける敬意表現もまた多様なものとなるからである。
 多様な表現の中からいずれを適切なものとして選択するかは個々人の判断にゆだねられる。一人一人が自分で納得できる言葉遣いを主体的に選び,自己表現としてそれを使うのである。そのためには,様々な表現の意味合いの微妙な差を吟味して感じ取る言語感覚が求められる。また,その時々の相手と自分との関係を的確に把握し,場面に配慮して適切な言い方を選択する能力も求められる。
 我々は社会の一員として一人一人が人格を形成し,より良い人間関係を築くことが求められている。そのためには,相手や場面にふさわしい言葉遣いとして,敬意表現の運用能力を身に付け,それを適切に用いていくことが大切である。
 敬意表現は,相互尊重の精神に基づき,多様な選択肢の中からその時々の相手や場面に合ったものを社会の慣習に照らして過不足なく選び取って使うものであるが,特に留意すべきは過剰にならないということである。また,気持ちの伴わない慇懃(いんぎん)無礼な使い方をして結果として相手に失礼になることを避けることなどにも留意すべきである。
 また,相手の用いる言葉遣いに対する寛容さも必要である。児童生徒や外国語を母語とする人など日本語の敬意表現に習熟していない人の不十分な言葉遣いや,言葉の地域差,世代差などに基づく耳慣れない言い方などに対しては,それぞれの相手の状況や立場を思いやり,寛容な態度で受け入れる姿勢が求められる。
 敬意表現をめぐっては,以上の事柄を基本的な留意点としたい。

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