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W 敬意表現についての留意点

[具体的な留意点]

 以下,敬意表現を考える上での具体的な留意点について述べる。

1 あいさつや前置きの中の敬意表現

 日本語の表現には,例えばあいさつや前置きを中心にして,定型的な言い回しによって相手や場面に対する配慮を表す表現が数多く存在する。例えば,「こんにちは」「お先に失礼します」などのあいさつ表現,「恐れ入りますが」「ちょっとお尋ねしますが」「夜分すみません。○○ですが」などの前置き表現である。これらは,その都度の言語場面の個別的な事情や状況に直接左右されることなく,共通する場面で適切に用いることによって,相手や場面への配慮を効果的に表現し得るものである。これらは,言語生活の上で敬意表現として有用で不可欠な役割を果たしていると認識されている。
 しかしながら,一方では,定型的な言い回しをいつも繰り返すだけでは不適切な場合もある。例えば「御苦労様」という表現はねぎらいの意味を持つので,会社の上司や年長者に向かって言うのは不適切だと感じる人もいる。あるいは「電話ですみませんが」という前置き表現は,重要な用向きや改まった場合には適切であるとしても,急ぎの用件や簡単な連絡の場合であれば不要だとする意見もあり得よう。
 基本的には有用な働きをする定型的なあいさつや前置き表現も,場面や相手を考慮に入れて使ったり使わなかったりする配慮や言葉遣いを選択する配慮が必要となる。

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