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W 敬意表現についての留意点

[具体的な留意点]

3 相手や場面にふさわしくない過剰な敬意表現

 相手や場面に合わないまでの過剰な敬語や敬意表現は,むしろ相手を不愉快にさせて円滑な意思疎通を阻害する場合が多い。「おいでになられました」「申し上げさせていただきます」などのいわゆる過剰敬語はもとより,言葉遣いとしては正しいはずの敬意表現,例えば「大変有り難いことでございます。心から御礼申し上げます。」「お言葉を返すようで誠に恐縮ですが…」などを,それほどまでの遠慮や丁寧さを必要としない場面や相手に使うことは,かえって不必要な自己卑下や慇懃無礼な言葉遣いとなる場合があるので,避ける配慮が必要である。
 このことは,商業やサービス業の場面などで用いられるいわゆる商業敬語においてしばしば指摘される問題点でもある。特に,近年,言葉遣いの手引として用いられることの多いマニュアル類においては,顧客などの相手がどのような人であっても,用向きがどのようなものであっても一定の言葉遣いを求めるものがあり,それに従った言葉遣いが往々にして敬語や敬意表現の過剰なものになる場合がある。
 ここでも,その都度の場面や相手に応じた配慮を基本とした言葉遣いについて留意することが必要となる。

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