国語施策・日本語教育

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議事録 第1回〜第6回

〔第1回〕

昭和21年6月4日  文部省教科書局長室


(提出資料)
 標準漢字表,常用漢字表(1295字)


(主査委員長選挙)
 互選によって山本委員に決定。


(文部次官からの希望)
 山崎次官から,国字問題は,急速に方針をきめなければならないところの教育上の重要問題であるから,新しく作る「常用漢字表」については敏速な決定を期待するとのあいさつがある。


(議  事)
 審議の基本方針を討議した末,この委員会で造る常用漢字表は,1295字案に拘束されず,
  1 義務教育で教える漢字
  2 社会の現状から実行可能な案
の2本建で行くということに意見が一致する。

〔第2回〕

昭和21年6月11日   文部省教科書局長室

(各新聞の漢字対策状況報告)
(朝日) 大阪,九州,東京3社案を持ちよって,7月に練る予定だったが,審議会案と融合してもよい。
(毎日) 審議会の先の案(1295字案)の決定が留保になったと聞いて足ぶみ中。
(読売) 文部省の決定をまって,それにそうつもり。
(東京) 戦災後,そこまでまだ手がまわらない。
(経済) ことばの平易化について努力している。
(時事) 貴社教育,字母いついては研究注意している。


(文部省教科書局調査課国語調査室からの報告)
 文部省では,今まで各省関係者と連絡して官庁用語の平易化の打合せをつづけてきたが,この連絡会議で練った案を,今週次官会議に出し,決定を得たら,その方針によって,官庁用語便覧を編集する予定である。


(決定事項)

  1. 新しい漢字表の完成期は,教科書の編修,司令部その他の方面からの要求もあるので,7月いっぱいを目標とする。
  2. 音訓整理のだいたいの方針は,1字につき1音1訓主義とする。
  3. 「まえがき」は,前回決定のものと,だいたい同様の方針内容で行く。

〔第3回〕

昭和21年6月17日  教科書局長室


(提出資料)
○日本経済新聞社の幹事削除の標準
 (第1号)官庁,新聞社等より常用漢字表に採用希望の文字(その1)
 (第2号)固有名詞における漢字の整理について


(議  事)
○用語整理についての調査は事務当局で行うことと決定。
○固有名詞については,三宅嘱託に具体案を考えてもらうことと決定。
○常用漢字表のまえがきを材料にして,「まえがき」について審議,次の事項を決定。

  1. 動植物名をかながきにする。
  2. 「中華民国を除く」のただし書を削る。
  3. 固有名詞については,三宅案の決定をまって別に考える。
  4. 簡易字体については別に考える。
  5. 計量単位名について新項目をいれる。
  6. 各項目下に説明例をいれる。

○第1号議案の文字について審議を進める。

〔第4回〕

昭和21年6月25日   教科書局長室


(報  告)
(朝日新聞社から)原則として,地名人名を直ちにかな書きにすることは困る。中国の地名人名については,ペキン官話をかなで書きあらわし,漢字を割る方法を研究中。
(国語調査室から)地名人名をやさしい漢字,もしくは,かなで書くことについては,内務省,鉄道,司法当局と連絡したが,かなり複雑な行政的処置がひつようである。なお,努力して実現をはかりたい。


(議  事)
 原則論について検討。これについては次回までに三宅嘱託に文書にまとめてもらうこととなる。ついで第1号議案について審議続行。

〔第5回〕

昭和21年7月2日  教科書局長室


(提出資料)
○筑田勇彌氏の意見書
 (第5号)常用漢字選定の基準
 (第6号)調査実行上の方針
○漢字ヲカナ書キニ改メ得ル場合
○標準漢字表ノ漢字選定ノ基準


(議  事)
 第5号,第6号議案につき,広田幹事および三宅嘱託から説明があったのち,第1号議案について引続き審議。

〔第6回〕

昭和21年7月9日  教科書局長室

(提出資料)
○昭和18年制定「師範学校教科書」科学用語集ニアリテ常用漢字表ニナキ文字 
○各省よりの常用漢字表に対する意見
○憲法草案ノ中デ常用漢字表ニナイ文字


(議  事)
 第1号議案についての審議を一通り終る。
 次に憲法草案中,常用漢字表にない文字について,その採否を審議ののち,憲法の用字用語の平易化についての希望を委員長から議会へ,また事務当局からは関係各庁へ申しいれることに決定。

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