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さきほど言われた数々のアイディアが、まず技術的に可能になり、次にそれが法制度によって支えられる形になるのだと思います。例えば、すでに現在でもソフトウェアの媒体やハードウェア側にに仕掛けをして、特定のハードでしか稼働しないということにすれば、中古の複製物の流通を阻止することは可能です。けれども、それはユーザーフレンドリーな技術だろうか。例えば、子供の間では、友達のプラットホーム(ハード)を使い、自分のゲームソフト持ち寄って使って遊ぶということがあると思いますが、この場合に、自分のプラットホーム(ハード)ごと、友達の家に持って行かなければゲームができないということにもなりかねない。
ちょっと議論が飛びますけれども、「契約システム」という点で考えますと、例えば「使用権」を著作権者がコントロールできる「物権的な権利」として認めて、その「物権的な権利」によって、ネットワーク上で、電子商取引の中で、様々なパターン化された使用条件(ライセンス)をクリックすることで、著作物が使えるという仕組みが可能ではないか。
しかし、この仕組みは、「物権的な権利」がないと難しい。その部分に穴が開いていると、アウトサイダーは必ず出てきます。そこはやはり「物権的な権利」で抑えておいて、それを前提にした契約をする。よく、権利者に物権的な権利を与えてしまうと、許諾の際に禁止権的に働き、流通が阻害されるおそれがあると言われますが、これは独禁法や消費者保護法といった法律によって、「契約法」のレベルで民民の契約をコントロールする方法ができれば流通をめぐる紛争も起こらず、バランス良く状況に対応できるのではないかという議論がなされました。 |