研究成果の概要
(1)研究主題
生徒の著作権に対する意識の実態とその高揚をはかる学習指導と環境づくり
(2)研究のねらい
本校の生徒及び教官の知的財産権(知的所有権)の意識や知識を高めるとともに、より生徒が学習において、自主的、創造的に活動できるような環境づくりと学習指導を行うことで、安心して楽しくより豊かに協調性をもって過ごせるとともに、生涯生きてはたらく思考力と判断力をもてるような資質を身につけることをねらいとする。
また、それは、他人を大切にし思いやり独り立ちできるという本校の目指す人間教育に向かうものであると考える。本研究は、特に,本校のITを活用した校務の情報化及び学習の情報化の研究にもとづき,学校と家庭との連携においても単なるITにおいての活用だけでなく、関連する著作権教育の内容を、全教官と全生徒において考え企画し、他の教科や総合的な学習,家庭でのITの活用法などへの応用をしていけるところに主張がある。そのため、他校への導入の一助となる意義は大きいと思われる。
(3)研究の概要
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著作権教育に関する生徒・保護者及び教員の現状と課題についての調査
学校内の生徒と保護者及び教員の著作権に関する知識・関心・指導の実態などを調査してまとめる。
方法:sa@school を活用したアンケート調査を作成するとともに、実際に、調査集計を行い、情報教育プロジェクト委員会で分析する。
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著作権教育についての造詣の深い専門家等による現職教育を行うとともに、学校における著作権教育推進の共通理解の方法について蓄積してまとめる。コンピュータソフト(フリー・シェア),web関係,映像・音声関係,ビデオ,書籍,テレビ番組,劇の上映等。
- 音楽における著作権についての講話(10月教官会)
- ITにおける著作権についての講話(11月教官会 )
- 文化祭の劇上映に関する講話
- ITに潜む著作権の問題点
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情報モラルリテラシーの項目の作成(別紙参照)
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著作権教育への意識を高揚できるような環境づくりを行う。PC、CD,MDデッキ等のハード面及びそれに関するソフト面
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著作権教育を加味した授業事例の立案(著作権教育用のコンテンツ等の開発を含む)
以下のような視点で、情報教育プロジェクト委員会で授業事例を立案する。
- 「著作権テキスト〜初めて学ぶ人のために〜(文化庁長官官房著作権課)」を教材にしながら、授業案を作成する。
- Webサイトあるいは他の資料等を用いた授業案を作成する。
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著作権教育を意図した授業実践と分析
以下のような具体的な学習を想定する。授業の様子をビデオに撮影して報告を作成する時に活用する。
- 技術科における情報基礎で、における画像、テキスト、イラスト、音声などwebの権利についての学習を行う。
- 音楽科による作曲家等の著作権の保護についての学習を行う。
- 数学科のソフトウェア,シェアウェアの活用に関わる著作権の学習を行う。
- 理科のフリーウェアソフトの活用に関わって著作権の学習を行う。
- 英語・理科を中心に、教科における学習のまとめにおけるプレゼンテーション作りにおいて、webからの引用のあり方についての学習を行う。
- 総合的な学習「心の書」において,画像の引用の仕方,家庭への発信の仕方の学習指導
- 文化祭劇の上映,音楽等の複製,家庭へのITによる上映への配慮
- 宿泊研修等の「研修しおり」づくりに関する学習
(4)研究の成果
今年度、研究実践を進めてきたいくつかの実践と成果について示す。
- 本校における情報モラルリテラシーの育成についての項目を作成した。(別紙1)
- 教職員に向けた著作権教育(特に、音声映像などの著作権の在り方についての講話、著作物についてのQ&Aワークシートによる学習)10月29日教官全員対象の現職教育にて行った。(別紙2)
- 授業でも生徒向けに、1年生理科の授業で、フリーウェアソフトとシェアウェアソフトの違いと扱い方についての指導を行った。11月8日から12日までの週。
- 教職員向けの啓発として「著作権どう教えるー教員の意識改革が急務」(日本教育新聞11月7日版)を全教官に配布し、改訂された著作権法の実施の記事から「自由利用マーク」について学習し知識を得た。11月14日
- 3年生選択教科(理科英語)において、それまで学習して生きたまとめを画像や文章をつかってプレぜーションソフトでまとめていく授業を行った。その中で、著作権について認識を深め実践していく態度を育てる指導を行った。(別紙3:学習の流れ)(別途:デジタル映像にて授業風景)
- 教官及び生徒・保護者に対して、著作権の認識アンケートを行い、結果を集計し実態について調査した。その結果、知識や認識を効果的に行うことで、認識を深めることができることがわかった。(別紙4)
- 生徒に著作権教育を行う立場になったことで、あらためて日常的な自分の生活や教育活動で、著作権において知って意識をする必要性と重要性について再認識した。