平成15年度 東京都立墨田川高等学校

研究成果の概要

(1)研究主題

著作権を生徒が自分の問題としてとらえその意義や必要性を理解する指導。

(2)研究のねらい

社会の情報化の特徴のひとつとして多くの著作物がディジタル化されており容易にそれらの複製を作成できることを理解させる。さらに、無断で著作物を複製することが著作者にどのような影響を与えるかについて自分のこととして考えさせ、著作権の仕組みとその存在意義について理解させる。著作権法を難しい条文として捉えるのではなく、身近に発生する諸問題を解決するためにどのような役割をしているかを考えることで、他人の権利のみならず自分の権利も守られる。ということを意識させるこのために、著作権に関連する各種の事例を調査させ、それに類した事例を自分の身の回りで見つけることで、生徒相互で著作権の聖心について教え合うという指導を試みる。

(3)研究の概要

本年度は、年度途中で協力校要請の依頼があったため、学校全体で取り組むというところまでには至らなかった。具体的に、研究担当者が担当している選択講座「コンピュータ」(週2単位×3講座)において、著作権についての解説、「著作権クイズ」の実施、および生徒による「著作権クイズ」の作成と解答を実施した。

当該講座においては、年度当初に著作権についての指導を実施済みであり、著作権の概要については既知の状態で研究が開始された。

著作権について復習をした際に、年度当初の座学による著作権学習の内容があまり定着していないことを発見し、あらためてインターネットを利用して具体的な事例を用いて指導することにした。その過程で「著作権クイズ」を行い、生徒の意欲を引き出す工夫を行った。さらに、インターネット上にある情報モラルの学習サイト(「ネット社会の歩き方」など)や、文化庁のサイトで提供されている「著作権教育用ソフトウェア」などを利用することで、種々の事例を表面的に捉えるだけでなく、その背景にある社会的事情や著作権の役割などを理解させることにした。

以上の準備段階を経て、生徒自らがオリジナルの「著作権クイズ」を作ることにした。その際、単にクイズを作るだけでなく、その解答の意味や背景にある社会的な意味を他人に説明できるという条件を付けた。集めた「著作権クイズ」は生徒全員が解答することとし、全員参加の協同型学習を目指した。

(4)研究の成果

研究期間が短かく計画的な研究が難しかったため得られた成果は少なかったものの、次年度以降の見通しといくつかの課題を得ることができた。

以下、本研究で得られた成果と今後の課題について示す。

【研究の成果】

  1. 著作権の必要性を実感するきっかけを与えられた

    「人が嫌がることをしない」という理解しやすい理由から始めることで、著作権問題の有無を身の回りの事例から判断できるようになった。

  2. 情報の発信において著作権を意識できるようになった

    授業においてWebページによる情報発信を行う際に、インターネット上から入手した画像や文章について著作権や肖像権について意識するようになった。許諾の必要性や引用の明示など、不明な点は随時教師に相談する態度が身に付いた。

  3. 「著作権クイズ」を自作することで著作権を身近なものにできた

    生徒自らが著作権クイズを作るという作業を通して、著作権法という難解な話題を身近なものとして感じることができた。また、解答に対する理由を他人に分かりやすく説明することで、本当の意味の理解を深めることが可能になった。

  4. 文化庁のサイトを活用できた

    昨年末から今年にかけて、文化庁のサイトにある「著作権〜新たな文化のパスワード〜」が充実したため、そこからダウンロードして使える「著作権教育用ソフトウェア」や各種の解説ページを教師や生徒が活用ができた。

【今後の課題】

  1. 発達段階に応じた著作権教育の検討

    情報教育の普及にともない、著作権教育ははやい段階で実施されることになる。しかし、著作権についての指導は細々とながらも永続的に行うべきで、波立段階に応じた適正な指導内容が検討されるべきだと考える。そのためにも、小中高の間で著作権教育に関する連携をとり、無駄のない効率的な指導を模索すべきであると考える。

  2. 著作権に関する実践的な実習の検討

    今回は、インターネットの学習サイトを利用して自学自習させたり「著作権、クイズ」を自作したりといった実習を行ったが、今後は、著作権者に対して使用許諾をとる活動や、著作権に対する意識調査などを、より実際的な活動を通して高校生に適した実習を検討すべきと考える。

  3. さまざまな教科における著作権指導についての検討

    情報や倫理などの教科に限らず、さまざまな教科における著作権指導の可能性を検討すべきだと考える。ややもして教員自身が著作権を侵害している場面が見られるが、教師自らが著作権についての見識を深め、各自の教科において積極的に著作権についての指導を行えるようにすべきと考える。

  4. 文化庁のサイトの利用推進

    前述した文化庁の著作権関連ページについての認知度が低いため、これを広く普及し、生徒指導や学校運営に役立たせる方策を立てる必要がある。