平成16年度 岐阜大学教育学部附属中学校

研究成果の概要

(1)研究主題

人間教育に向けた自発的なICT活用への取り組み
〜生徒の著作権に対する意識の高揚をはかる学習指導の工夫と環境づくり〜

(2)研究のねらい

私たちは、生徒が学校生活をより楽しくより豊かに協調的に過ごせることを願っている。そのため、学校と家庭との双方向の情報交流を深めていく手段の一つとして、生徒自身が日常生活の中でICTを活用して、自主的、創造的に活動できるようにしていきたいと考え、そのための環境づくりを行う。その中で、ICTで単に実用性や効率性だけを求めるのではなく、人と人との気持ちを大切にした実質的なICT活用の有用性に気付かせていきたい。

また、次世代に対応できる人間の育成を目指して、ICTに関わるモラルの向上とともに、本校の生徒及び指導者の知的財産権(知的所有権)の知識を増やし、意識を高めることで、将来にわたり生徒が、自主的、創造的に生活ができるように、生きてはたらく思考力と判断力が身に付くことをねらいとする。

(3)研究の概要

  • 研修

    1. 著作権に関わての昨年度までの研修の成果と課題を職員全員で共通理解するとともに、岡山大会での他校の実践を紹介する。(7月・9月職員会)
    2. 個人研修で、文化庁の著作権に関わるHPの閲覧をし研鑽を深める。
    3. 岐阜県版「情報教育に関わるHP」の閲覧から、県の方針と現状を理解する。
    4. 校内の指導部会で著作権の指導法について検討と実践のまとめをする。(10月・2月)
  • 実践

    1. 総合的な学習の時間を活用したIT活用の実際とモラル・著作権に関わる指導
    2. 各教科における著作権教育の実践と分析
    3. 選択教科・総合的な学習における著作権教育の実践と分析
  • IT活用の環境づくり

    1. 情報リテラシー項目の加除修正
    2. デジタルカメラやプロジェクターなど学習環境の充実
    3. 学習・情報指導部会での年間指導活動のリアルタイムな情報公開に向けての著作権に関わる配慮

(4)研究の成果

今年度、研究を進めてきたいくつかの実践と成果について示す。

  • 研修

    1. 教職員に向けた、著作権教育に関わる意識と昨年度からの変容(別紙1)について調査し、啓発活動を行った。
    2. 学習・情報指導部会にて具体的指導項目の洗い出しを行い、各教科の実践に活用した。
  • 実践

    1. 1年生の総合的な学習で、ICTの活用法について授業を行った。また、情報のモラルや著作権についての学習も別日に行い、著作権の存在や著作権作成者の権利を守ることについての意識の高揚を図った。
    2. 各教科で著作権を意識した授業を行い、その成果と課題を分析した。(別紙2,指導事例
    3. 選択理科で、情報の発信者として著作権を有するものの立場から著作権について考える学習を行った。
  • ICT活用の環境づくり

    1. 本校における情報リテラシーの育成に向けての指導項目を加除修正した。(別紙3
    2. 学習・情報部会で、ICT活用に向けた年間指導計画について検討した。

<成果まとめ>

著作権に関わる啓発活動を昨年度から継続的に行っていくことで、指導する立場である教師の認識も高くなり指導の必要性について考えるようになった。さらに、著作権教育を行って行くに当たっての留意点や問題点に気付き、よりよい指導法について模索していくことができた。また、教師が著作権を意識しながら、各教科や選択、総合的な学習を進めていくことで、著作権を守ることの意義と著作者の気持ちに共感していくなど、生徒が身近な世界に関係する問題であるという意識をもつことができ、権利を守ろうという意識を高めていくことができた。