研究成果の概要
(1)研究主題
児童の著作権感覚を高める指導と評価に関する研究
(2)研究のねらい
各教科や総合的な学習の時間において、情報活用能力の育成と関連づけながら、児童の著作権感覚の向上と自ら考え行動できる態度の育成をめざす。特に、体験的な活動やIT活用を通して、子供たちの著作権感覚を育てることをねらいとする。
また、文化庁開発のデジタルコンテンツや指導資料、自作教材を活用した授業実践を進め、その学習効果について分析するとともに、著作権教育に関する研修を充実させ、教師の著作権感覚を高める。
(3)研究の概要
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学年の発達段階に応じた指導計画・教材開発
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著作権感覚を高める授業実践と評価
- 文化庁提供のデジタルコンテンツを活用した授業
- 身近な著作物から学ぶ体験的な活動
- テレビ会議を通した専門家との交流学習
- 授業後の児童の感想や、児童の変容の分析
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著作権教育における日常的な指導の推進
- 教科等の指導場面でのワンポイント指導
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著作権教育における児童・教師への意識調査の分析
- 著作権教育に関する職員研究の実施
- 児童向けの著作権教育に関するアンケート調査の分析
(4)研究の成果
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著作権感覚を育てる授業実践と評価
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3・4年 総合(情報)「作品を大切にしよう」3時間
文化庁開発ソフトを活用して、著作権クイズを楽しみながら、基礎知識を身につけることができた。他の人の著作物(作品)を大切にする態度が身に付いてきた。
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4年 総合(情報)「身の回りから作品を見つけよう」3時間
CDや本、絵画などの著作物を身の回りから見つけ、コピーライト©の記述やその留意点について考えることができた。日頃から著作物に目を向けるようになった。(※別紙3を参照)
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5年 社会科「私たちを動かす情報」7時間
新聞社の方から、テレビ会議を通して「引用」の留意点を教えてもらうことができた。引用の正しい仕方を知り、ホームページ作りに生かすことができた。(※別紙3を参照)
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5・6年 総合(情報)「著作権クイズを作ろう」7時間
著作権コンテンツを参考にしながら、学習したことを生かして、著作権クイズを作成することができた。Webページにまとめ、友達どうしで紹介することができた。
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著作権教育における日常的指導の推進
著作権を授業等の中で中心的に取り上げるのではなく、子どもたちの活動の中でトピックスのように扱いながら、5分程度の時間で効果的に指導することができた。その際、文化庁Webサイトで提供している教師用指導書を用いた。
教師用指導書は、場面ごとに具体的な対応策や解説が整理してあるので、権利の尊重や文化的所産の大切さについて考えさせることができた。
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児童向けの著作権教育に関するアンケートの分析
2年間にわたる児童向けの実態調査を分析した結果、全学年において、著作物や著作権の基礎知識が高まり、学校全体の取り組みとして、著作権感覚が高まってきたことを示した。(※別紙4を参照)
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今後の課題
- 著作権教育と、情報モラル(肖像権やプライバシー保護など)の関連性を明確にし、道徳の授業との連携を図りながら発達段階に応じた指導を進める。
- 著作権教育に関する教員研修の充実を図り、文化庁開発教材の有効活用を学校全体で進めるようにする。
- 教師向けの著作権教育に関するアンケートを実施し、著作権教育における教育効果や推進する上での課題を明確にする必要がある。