研究成果の概要
（1）研究主題
著作権教育に関する資料収集及び実態把握
（2）研究のねらい
現在、インターネットや携帯電話の普及により、学校だけでなく、日常の生活においても、「情報」と密接につながっている。学校現場でも、各教科、総合的な学習など、インターネットを利用し、資料を収集し、活用する活動がある。
そこで問題となるのが、情報を正しく活用する力や、自ら発する情報に責任を持つ、いわゆる情報モラルの育成である。
昨今、映画や音楽などの違法コピーが問題となっている。多くの場合、著作権についての意識の少なさが考えられる。同時に情報モラルの身に付いていない児童については、インターネットなどの犯罪に巻き込まれることは少なくないと考える。
そこで、本校は教育活動を通し、児童の情報モラルを育て、その中でも著作権に関する知識や考え方を身に付け、情報社会に生きる力の育成を目指している。同時に、本校を発信源として、児童だけではなく、職員や保護者など地域ぐるみで学ぶ環境を設定したい。
（3）研究の概要
本校は「著作権教育研究協力校」となり1年目であったので、事例収集や実態把握を中心とした、以下の事業を計画し、実行した。
①連絡協議
- 文化庁や他の協力校との連絡協議
②校内での研究
- 著作権に関する教職員・保護者の意識の高揚を図った。
- 著作権に関する関連団体からの資料収集
③先進事例研究
- 過去の著作権教育研究校の事例収集を行った。
④実態把握
- 著作権に関する意識の調査を行った。
⑤年間指導計画作成
- 情報モラルと道徳との関連を探り、全体計画・年間指導計画への位置づけを行う。
（4）研究の成果
＜研究の成果＞
昨年度は研究1年目であったため、表立った成果が出ていないのが現状である。しかしながら、学校生活の一場面で、著作権を意識した発言や行動があり、著作権への意識の向上が見られた。
①意識の向上
- 各教科や総合的な学習でインターネットを使っての学習活動の際、「著作権は大丈夫かな」という発言があった。このことは、児童の著作権への興味・関心の高まりと考えられる。
- 教職員間でも、「これは配布していいのか」などの問い合わせを受けることが多くなった。また、ホームページに掲載する児童の写真に関しては、「個人が特定されない写真」が周知徹底されている。学校業務に関する情報モラルに関する意識の向上が見られた。
②実態把握
- 教育現場においては、いかなる副読本もコピーして配布してよいという意識があった。
- 「著作権」は音楽や映画にしかない誤った認識があった。しかし、音楽の違法コピーについて知っている児童は、思いのほか多かった。このことはパーソナルコンピュータやMP3プレーヤーの普及が要因であると考えている。
③情報収集
- 過去の著作権教育協力校の実践例や事例などの収集を行った。著作権教育をどのように他教科、特に道徳と関連付けるのかのヒントとなった。同時に、情報の年間指導計画に情報モラルを位置づけた。
＜今後の課題＞
1.著作権教育を教科・領域の指導内容と関連させ、授業にどのように組み入れるのか。また、授業研究を通して実践的研究に取り組む。
2.著作権教育を人権教育の一環として、自己と同様、他者を大切にする心情を育てる。