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サンライズの松本です。私どもは「ガンダム」を制作している会社です。ちょうど2年前に私どものバンダイグループでバンダイチャンネルというVODの会社を実際のビジネスとして立ち上げて、現在に至っています。
2年前に「ガンダムSEED」という番組が始まるときに、NTT東西さんと一緒に配信をしていただけませんかというお話をいたしました。テレビ放送は大阪の毎日放送(MBS)なのですが、担当プロデューサー、MBSの方針としてネットワーク事業への理解があり、アニメをインターネットで配信するという展開ができないかという相談をいたしました。MBSは全国ネットをしているのですが、県によっては1週間遅れで番組を放送しています。そのために、全国一斉で配信をされてしまうと、1週遅れの番組放送をしている地域で先に見られてしまうことになってはまずいということでしたが、技術的に県ごとに仕切って配信のコントロールができるということなので、今回MBSと「ガンダムSEED」の配信プランにうまくジョイントできました。NTTもちょうど2年ほど前からフレッツユーザーを拡大するためのキャンペーンをいろいろされていたのですが、たまたま「ガンダム」というアニメ作品に理解のある担当の役員がおられまして、「ぜひ一緒に」ということでジョイントいたしました。MBSとしては、「アニメファン=PCファン=ブロードバンド」といった繋がりがあるので、ガンダムのファンでも放送を見ていない人、毎週見ていない人もいるだろうから、ブロードバンドをうまく活用しようということでスタートしました。
MBSとしては結果的に視聴率が上がればいい、NTTとしてはフレッツユーザーが増えればいい、我々コンテンツ制作者サイドとしては、うまく相乗効果を作って知名度が上がればいい、結果的にDVD販売の効果も上がればいいという思惑があってスタートしました。
視聴率については、旧来の「ガンダム」は4〜6%ぐらいでしたが、「ガンダムSEED」は8%前後になりました。現在この10月から「ガンダムSEED DESTINY」をやっていますが、それは8.6%ということで、徐々に「ガンダム」というよりも、ブロードバンドの認知も含めて広まって、その結果が視聴率に反映していると考えています。
DVDについては、従来「ガンダム」というパッケージ商品が1巻当たり3万5000本ぐらい売れていたのですが、10万本売れました。トータル130万本ぐらい売れましてヒット商品になりました。そういう意味でブロードバンド配信によるメリットを放送での視聴者の獲得、視聴率のアップという具体的な数字、フレッツ、NTT東西はそれなりにユーザー獲得に効果があり、コンテンツの販売社側はDVD販売の数字に繋がったということで、それぞれの部分がいい結果で推移しました。
ブロードバンドで配信するとテレビの視聴者がいなくなってしまうのではないかとか、その逆だとか、いろいろ懸念はあったのですが、結果的にはそれぞれがうまくマッチして、それぞれが伸びた。いろいろな権利の問題もありましたが、それぞれ理解がありましたし、「ガンダム」はもともとオリジナルの作品でしたので、権利処理もしやすかったということもありまして、いい意味で新しいビジネスの構築ができたと考えています。そういう意味では、あまり放送だとか、ブロードバンドだとか、ネットだとか、パッケージだとか、変に垣根を作らないで、すべてが大きいプランの中で新しいビジネス構築ができるのではないかという位置づけでやった結果だと思っています。 |