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第7回総会

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〔日程・場所〕

昭和25年6月12日  午後1時半〜4時  文部省第1会議室

〔出席者〕

土岐会長
阿利,安藤,石黒,今井,牛山,大野,折口,鹿住,倉石,佐々木,颯田,佐野,園田,滝口,田口,時枝,中島,原,藤森,舟橋,前田,山口各委員
つじ田初等中等教育局長,関口調査普及局長,原国語課長,ほか関係官
西尾国立国語研究所長



庶務報告(原国語課長)

  1.  5月13日付で伊藤委員が次官を退職,剣木次官が委員として就任。
  2.  5月18日付で,杉並区宮前中学校長武藤辰男氏が新制中学校の代表として,横須賀市山崎小学校長山崎好次郎氏が小学校の代表として,ローマ字調査分科審議会の臨時委員に就任。
  3.  6月10日付で,辻田調査普及局長が初等中等教育局長に転じ,関口事務官が調査普及局長に就任。


<<議  事>>

土岐会長

 本日は,国技問題要領いわゆる国語白書の第6草案を議題として御相談する。前回の総会のとき,文書で提出された意見は,全部書き加えてある。だいたい前回までで内容についての意見は出尽し,辞句の修正は委員に任された形である。草案の朗読は省いて,御意見を承りたい。

園 田

 議事の進行について申し上げたい。国語問題要領は歴史的文献であるから,じゅうぶん審議を重ねることはたいせつだが,もはや世間に伝わり審議会はいつまで持ってまわっているのかと言われている。すでに第6草案まできているのだから,きょうの総会で可決していただきたい。

土岐会長

 田口委員・石黒委員,これでよろしいか。(松坂委員は欠席)

田口・石黒

 よろしい。

土岐会長

 文章は練れば練るほどいいわけだが,だいたいこれで御承認を願い,最後の辞句の仕上げは起草委員に任せていただければしあわせである。(賛成)

土岐会長

 ではこの国語問題要領は御承認と認める。次に発表の方法と時期については,国語課に事務的のことを任せてもよいか。発表とともに宣伝・普及については積極的な方法はないか。

園 田

 発表のことは国語課に任せてよい。ただ,わたくしは新聞社の一員として,「要領」という名では魅力が乏しいから,「白書」という名のほうがとりつきやすいと思う。

土岐会長

 解説書のようなものを作ればいいが,会として作るよりも,みなさんがそれぞれの立場で,適当な題目をとらえてお書きくださるのがいいと思う。

原課長

 発表はできるだけ有効適切にしたいと考えている。ただいまのところ次のような計画をしている。

  1.  予算の範囲内でパンフレットを作ること。
  2.  本日議決になれば,明日午前,新聞発表をし,会長から文部省の記者クラブに詳細を説明していただく。
  3.  ラジオでは,明日のニュースに放送してもらうほかに,ことばの時間に20分ばかり会長に話していただく。教育ニュースの時間にも簡単な紹介をしてもらい,その他婦人の時間,時のうごきなど,あらゆる時間を利用して放送してもらう。

 なお,解説については,国語シリーズを本年度内に5冊出す予定になっているから,その1冊をこの解説にあてる。新聞には,社会欄の記事だけでなく,学芸欄のようなところで,まとまった記事に扱ってもらいたいと希望している。

土岐会長

 国語白書か国語問題白書か。

園 田

 ほんとうの名は国語問題要領でよろしいが,大きい見出しにするには国語白書がいい。

滝 口

 園田氏の説賛成。発表するには白書の形式ですること。

土岐会長

 白書の可決にそうて,今月中に四つの部会を開きたい。敬語の部会はすでに7日に開き,部会長は金田一氏に決まった。14日午前には話しことばの部会,午後は漢字の部会,22日午後は公用文・法律用語の部会を開くことになっている。ローマ字の部会も安藤会長のほうで今月中に開かれる。白書が世間に広まると同時に,部会の活動も活発に動いてゆくことと思う。

時 枝

 中島委員も気にしておられたが,白書について世間の期待があるはずだが,われわれの考えていることとくいちがいがあると思うから,会長の新聞発表のときもそのへんを考慮していただきたい。

原課長

 全文の発表と同時に,新聞社で記事を書きやすいように,統計・調査的資料をも配布する。

時 枝

 世間ではある方向を決定したものを出すと期待している。

原課長

 客観的に記述したものであることを強調しているから,文部省づめの記者はそうは考えていない。



新旧局長のあいさつ

辻田局長

 一昨日の発令で,このたび初等中等教育局に転じました。みなさまにはいろいろお教えをいただき,ありがたく存じます。国語問題については,初等中等教育のほうも関係の深い局ですから,今後もみなさまの御指導をお願いします。従来のおほねおりに厚くお礼申し上げ,今後の御支援をお願いします。

関口局長

 わたくしは一昨日こちらの局へまいりました。これから長いことお世話になることと存じます。生れたときから国語を使って生活しておりどうか国語をもっとよくしたいと思っています。だんだんお教えを願います。国語は遠い祖先から子孫へと伝えるべきものでありますが,自分の思想さえはっきりしないわたくしは,こうやれば点がいいくらいの気持でしかなかったのに,今度はじめてまじめに考える立場になりました。どうぞよろしくお願いします。

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