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第11回総会
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〔開催日〕
昭和26年5月14日
〔出席者〕
土岐会長,宮沢副会長
安藤,石黒,颯田,佐野,沢登,園田,滝口,田口,千種,時枝,中島,服部(静),原,藤森,舟橋,松坂,山口各委員
原国語課長,ほか関係官
<<議 事>>
人名漢字に関する建議案と声明書
宮沢副会長
前回の総会で部会に問題をもどしたので,部会で再審議した結果がお手もとにお配りした資料である。
建議の趣旨を説明したようなものが声明書である。趣旨は当用漢字表によってやることは理想であるが,いろいろ特殊事情や社会慣習などもあるだろうから,ここに掲げてある字ぐらいは,当用漢字表以外に,名まえをつける場合に用いてもさしつかえないということである。
では,建議案を読んでもらおう。
(原国語課長,建議案朗読)
宮沢副会長
なにか御質問はないか。
千 種
姓のことについても触れてもらいたい。
宮沢副会長
子の名に用いる漢字というときには人の名まえだけだが,地名・人名という場合には姓のほうもはいっている。
石 黒
(別紙参照)というところを軽くするために,第2のパラグラフの「国語審議会……」から(別紙参照)までをいちばんあとにつけたい。
千 種
(別紙参照)のところに字を入れないで,本文を「別紙にあるような字は……」として,字を別にしたい。
舟 橋
当用漢字表によることが理想であると書いてあるが,将来広げる可能性のある当用漢字表によるというのか。
土岐会長
そうである。
舟 橋
これだと,人名が当用漢字表によって固定されてしまうような印象を受ける。
宮沢副会長
当用漢字表は人名を目的として作られたものではないから,当用漢字表内で名まえをつけるときに,もし不便であると多少は許容すると言う意味だ。
舟 橋
将来,理想の当用漢字表が作られるだろうから,それによることが望ましいということをつけ加えてもらいたい。
土岐会長
ほかに御発言がなければ,石黒委員・千種委員・舟橋委員の三つの提案について審議していただきたい。
石 黒
けっきょく,文章のやまのところに字がはいっていると,たいへん重く考えられてしまう。
佐 野
わたくしは,このままでいいと思う。
時 枝
わたくしも千種・石黒委員の言われたように,文章のなかへ文字を入れるのはどうかと思う。
(賛成多数)
土岐会長
では舟橋委員の発言について。
滝 口
当用漢字表の当用ということばそのものに,舟橋委員の言われたような意味が含まれている。
土岐会長
では当用漢字表の表という字を削除してはどうか。
舟 橋
ここではみなさんは滝口委員の言われたように了解されておられるのだろうが,世間ではそうは言わない。
土岐会長
では,理想ということを変えればよい。
颯 田
国語審議会として,理想であると説明することは大問題ではないか。
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