国語施策・日本語教育

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議事録 第1回〜第3回

〔第1回〕

6月11日  午前10時半〜12時半  文部省,教科書局長室で


(議  事)

 委員長互選,安藤正次氏に決定
 保科幹事長から,かなづかい処理問題の今日までの経過を説明,次のような希望がのべられた。

  1. さきに国語審議会できまった「新字音かなづかい」を今回の審議の原案にすること。
  2. 新かなづかい案の適用文体の決定をすること。
  3. その応用範囲をきめること。
  4. 文法組織との関連について研究すること。これに関して各委員から大要次のような意見がのべられた。

藤村委員

 日本の敗因は,調査の不十分にある。かなづかいの問題の解決には,常用漢字表との関連において十分な調査を必要とする。

金田一委員

 歴史的かなづかいも結局は一方的な決定にすぎない。ゆえにおとなの能力を標準としないで,子供がおぼえやすい形にするのがよい。

小幡委員

 漢字表に権威をもたせるために,早くかな書き法をきめる必要がある。

山本委員

 厳密な調査は必要だが,発音に即して当面の問題の解決を急ぎたい。

時枝委員

 かなづかいは,次の点をにらみあわせてきめるべきである。

  1. 伝統―復古意識からではなく,現在一般の理解の問題からきめる。
  2. 文法体系との関連を考えてきめる。
  3. 語の結合(ジヂ,ズヅなどの表音的ではかえって不合理化するものがある。)を考えてきめる。

 このほかいろいろの意見の交換があったのち,委員長から次の提案があり,全委員この方針に賛成。

  1. かなづかい解決の問題を当面の問題と恒久的な問題とにわけ,まず常用漢字表との関連において,当面の問題の解決を急ぐこと。
  2. 字音かなづかいも国語かなづかいの一種としてあつかうこと。
  3. 審議は「新字音かなづかい」を原案とすること。

最後に委員長から,新しいかなづかいの

  1. 適用範囲
  2. 内容に関する問題
  3. 除外例の問題

 について,次回までに考えおき願いたいむねのべられて閉会。

〔第2回〕

6月19日  午前9時半〜12時  教科書局長室で


(提出資料)

 第1号  「仮名遣改定案」
 第2号  昭和17年11月「国語運動」誌よりのぬきがき


(議  事) 

 委員長から「字音かなづかい」を「国語かなづかい」と区別してあつかうことは本質的に形式的にも妥当でないと説明,また,塩田書記から,第2号の「かなづかいのあやまりに関する能力別調査」にもとづき

  1. 原則として表音式にすること
  2. 連濁の場合以外,同音異字はオエイジズに統一すること
  3. 助詞ハヘヲは今までどおりとすること

の説明があり,種々意見,質疑ののち,左の如く決定。

  1. 7月いっぱいで審議を完結する。
  2. この委員会であつかうかなづかいは,「現代語音にもとづいて現代語をかなで書きあらわす場合の準則」とすること。
  3. 古典やその引用文には,このかなづかいを適用しない。
  4. 原案作成の便宜上,審議は「字音かなづかい」「国語かなづかい」の2本建で進めるが,決定発表の際には1本にまとめること。

 なお,集会に関しては

  1. 毎週水曜日午前9時半から
  2. 出席者には,次回開会通知を省略することを申し合わせた。

〔第3回〕

6月26日  午前10時〜12時  教科書局長室で


(提出資料)

 第4号 新聞記事からかなづかひと語との関係を調査したもの
 第5号 かなづかひ整理の根本方針
 第6号 かなづかひの問題について私見
 第7号 字音連声の書き方(案)


(議  事)

 第5号議案について検討した結果,かなづかい整理の根本方針としては,次のような案文を決定した。

  1. 本案は,大体現状語音に基いて現代語をかなで書きあらはす場合の準則を示したものである。
  2. 本案は,主として現代文の中,口語体のもののみに適用し,古典ならびに文語体のものには適用しない。
  3. 原文のかなづかひによる必要のあるもの,または,これを変更しがたいものはこれを除外する。
  4. 外国語の表記は別に定める。

 ついで第6号により三宅嘱託が,字音かなづかいの審議改定を急務とする旨をのべる。
 その他意見発表討議の結果,なお調査の方針は,前回の決定によることとなる。
 また,委員長から,新しく宮川菊芳,東条操,石黒修,松坂忠則,佐伯功介,西尾実,岩淵悦太郎,服部四郎の諸氏に参加を求めるべき発議あり,決定。

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