2014年5月14日
「海を越えた再会-クリーブランド美術館の日本美術」
九州国立博物館研究員 鷲頭桂
たとえば,皆さんが今から新しい美術館を作るとします。そこに展示する作品は,まだありません。これからコレクションを作るのです。そんな状況におかれたとして,皆さんはどんな美術を集めるでしょうか?
1913年に新しく誕生したクリーブランド美術館の場合,世界のさまざまな美術のほかに,日本美術を積極的に集めて,アメリカの人々に紹介しようと考えました。それから約100年。今では「日本美術の教科書」と呼べるほど,平安・鎌倉時代の仏教美術から,中世の水墨画,多彩な江戸時代の絵画まで,千年にわたる歴史が見渡せる優れたコレクションに成長しています。そんなクリーブランド美術館から選りすぐりの日本美術が,この夏,九州にやってきます。異次元のようなダイナミックな表現が今も新鮮な雪村の「龍虎図屏風」などが里帰りしますので,ぜひお楽しみに。
そして,実はこの「里帰り」にあわせて,クリーブランド美術館の作品の「仲間たち」が九博に集合することになりました。かつてはひと続き(ひと組)の作品でありながら,今はクリーブランドと日本で別々に所蔵される絵画や彫刻が,九博にやって来るのです。まさに海を越えた,スペシャルな美の同窓会。これを皆さんにお届けできるよう,同窓会幹事として全力で走っている,そんな今日この頃です。


雪村周継筆 龍虎図屏風 クリーブランド美術館蔵
【クリーブランド美術館展】
平成26年7月8日(火)~8月31日(日)
九州国立博物館 特別展示室
【特別公開 海を越えた再開―クリーブランド美術館の仲間たち―】
平成26年7月15日(火)~8月24日(日)
九州国立博物館 文化交流展示室 関連第11室
「夢中」に出会う
-真夏のトピック展示「全国高等学校 考古名品展」-
九州国立博物館主任研究員 市元塁
みなさんは,はるか昔のできごとをどのようにして知りますか。学校の歴史の授業で習ったり,お爺さんやお婆さんから昔話として教えてもらったり,自分で調べたりといろいろでしょう。そうして知るような大昔のできごとは,じつは私たちのすぐ足もとにも眠っているのです。それを発掘して研究していくのが,考古学という学問です。
考古学なんて小難しそうなものは,大学の学者がするものだと思っている方も多いかもしれません。しかし,考古学という学問の歩みをたどっていくと,そこにはたくさんの高校の先生や生徒のすがたを見つけることができます。高校の先生や生徒こそは,日本の考古学研究の一翼を担ってきた存在なのです。
本展は,高等学校に寄贈されたり,あるいは先生や生徒が調査して集めた考古資料を選りすぐって展示するという,国立博物館としては初めての企画です。展示品を通して,ひょっとしたら考古学にひたむきだった先生や生徒の,心の一端に触れることができるかもしれません。
私は,なにかひとつのことに夢中になるということは,とても尊く,また素晴らしいことだと考えています。この展示を通して,そうしたことを多くの方と共にかみしめたいと思っています。

1948年に高校生たちが発掘したハニワ
(重要文化財 埴輪男子胡坐像,古墳時代・6世紀,福島県立磐城高等学校)
【全国高等学校 考古名品展】
平成26年7月15日(火)~9月23日(火・祝)
九州国立博物館 文化交流展示室 関連第3室
九州国立博物館
〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4-7-2
- 問合せ
- 050-5542-8600(ハローダイヤル 受付時間 8:00~22:00/年中無休)
- 交通
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- 鉄 道
- 西鉄電車:西鉄福岡(天神)駅から西鉄天神大牟田線(特急約13分/急行約17分)で西鉄二日市駅乗り換え,西鉄太宰府線(約5分)で西鉄太宰府駅下車,徒歩約10分。※特急/急行料金不要
JR:JR博多駅からJR鹿児島本線(快速約15分)でJR二日市駅下車,JR二日市駅から西鉄二日市駅(徒歩約12分,バス約5分),西鉄二日市駅から西鉄太宰府線利用。 - 自動車
- 九州自動車道:太宰府ICまたは筑紫野ICから高雄交差点経由で約20分。
福岡都市高速:水城出口から高雄交差点経由で約20分。 - タクシー
- JR二日市駅から約15分・福岡空港から約30分。
- 西鉄バス
- 博多バスターミナル(13番のりば太宰府行き)から西鉄太宰府駅下車(所要時間約42分),徒歩約10分。
- 開館時間
- 9:30~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館,翌日休館),年末
- 観覧料
(文化交流展) - 一般430円(220円), 大学生130円(70円)
※( )内は団体料金(有料の方が20名以上の場合)
※特別展は別料金。
※障害者手帳等を卸持参の方とその介護者1名は無料。
※満70歳以上,高校生以下・18歳未満は文化交流展(平常展)について無料。
※国際博物館の日(5月18日。ただし休館日にあたる場合は翌日)及び敬老の日は, 文化交流展(平常展)について無料。 - ホームページ
- http://www.kyuhaku.jp/