2016年7月22日
夏のこども展示「ナント!おいしい!?平城京!!-奈良の都の食事情-」
奈良文化財研究所 企画調整部 展示企画室
奈良文化財研究所平城宮跡資料館では,毎夏,小学生親子向けの夏期企画展を開催しています。4年目の今年は「ナント!おいしい!?平城京!!─奈良の都の食事情─」と題し,平城京にくらした人々の食に関わる様々なトピックを取り上げ,関連する出土品や研究成果を御紹介します。

奈良時代の都・平城京に住み,平城宮の役所で働いていた役人たちは,朝と夕の二回,国から支給される給食を食べていたことが,文字資料から推測されています。実際に,平城宮跡の発掘調査では,給食に使われたと考えらえる規格性の高い食器が大量に出土しています。学校給食のように,数多くの役人が同じような食器セットを持ち運んでいる姿が目に浮かびます。また,平城宮跡から箸も数多くみつかっており,箸の利用は奈良時代に盛んになったと考えられています。

平城宮の役人の給食用食器
平城京に暮らす人々は,排水溝,井戸,穴などに食べ残しを捨てたようで,発掘中に,果物や野菜のタネやカラなどがまとまって見つかることがあります。近年は,発掘現場の土をまとめて持ち帰り,丁寧に水洗・フルイがけすることで,非常に細かなタネも拾えるようになりました。それによって,想像以上に豊かな食材があったことが明らかになってきました。

平城宮・京で出土した果物・野菜のタネやカラ
木簡も,当時存在した食材を解明するのにとても重要な情報源です。全国各地から平城京に集められた税の荷札,貴族の邸宅や寺院に運ばれた食材の送り状などには,具体的な食材や食品名が記されています。たとえば長屋王邸で出土した木簡には「加須津毛瓜」と記され,トウガン(毛瓜)の粕漬けが届けられていたことがわかりました。奈良の名産・奈良漬けの先祖と言っていいかもしれませんね。

「加須津毛瓜」と書かれた木簡(部分)
会期中には,研究員による親子向けのギャラリートークも開催予定です。1300年前の都の「食」について楽しみながら学んでいただき,平城京に暮らした人々に親しみを感じていただけましたら幸いです。
奈良文化財研究所平城宮跡資料館
(住所)〒630-8577
奈良県奈良市佐紀町
- 問合せ
- 0742-30-6753(奈良文化財研究所連携推進課)
- 交通
- 近鉄奈良線大和西大寺駅北口より東へ徒歩10分
- 開館時間
- 9:00~16:30(入館は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
- 観覧料
- 無料
- ホームページ
-
奈良文化財研究所平城宮跡資料館ウェブサイト
館内では,ボランティアによる展示解説を行っております(無料)
夏のこども展示「ナント!おいしい!?平城京!!-奈良の都の食事情-」
- 開催期間
- 7月23日(土)~8月31日(水)
- 場所
- 平城宮跡資料館 企画展示室
- ギャラリートーク
- 7月29日,8月5日,19日(いずれも金曜日)各回14:30~