2017年3月21日
名品ずらり,奇跡の集結。
特別展「茶の湯」
東京国立博物館広報室 高桑那々美
唐物茶碗の最高峰,国宝「曜変天目 稲葉天目」(静嘉堂文庫美術館蔵)。豪華けんらんな唐物天目の白眉,国宝「油滴天目」(大阪市立東洋陶磁美術館蔵)。天下一の高麗茶碗,国宝「大井戸茶碗 喜左衛門井戸」(孤篷庵蔵)。国焼の最高傑作と名高い国宝「志野茶碗 銘 卯花墻」(三井記念美術館蔵)。
国宝 曜変天目 稲葉天目
中国・建窯 南宋時代・12~13世紀
静嘉堂文庫美術館蔵
展示期間:4月11日~5月7日
千利休の創意に満ちた重文「赤楽茶碗 銘 無一物」(穎川美術館蔵)。織田信長から柴田勝家に贈られ,近代には平瀬家から藤田家へ伝わった重文「青井戸茶碗 柴田井戸」(根津美術館蔵)。足利義政の逸話があまりにも有名な重文「青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆」(東京国立博物館蔵)。
重要文化財 青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆
中国・龍泉窯 南宋時代・12~13世紀
東京国立博物館蔵
ただ文字を追うだけで,既に眼福の心地のする夢のラインナップ。それが,東京国立博物館で開催される特別展「茶の湯」です(4月11日~6月4日)。本展は,茶の湯の歴史を大規模に展観するもので,室町時代から近代まで,大きく五つの章で構成されます。なかでも,近代の茶の湯に焦点をあてた第5章は,本展を大きく特徴づけるものです。藤田香雪,平瀬露香,益田鈍翁,原三溪の4人の数寄者をとりあげ,それぞれの茶の湯とその美学を2週ごとに御紹介するとともに,次代を担った畠山即翁の茶の湯もとりあげます。近代から現代へ,「茶の湯」をつないだ近代茶人に,是非御注目ください。
さて,冒頭で名碗の数々を挙げましたが,本展の見どころは茶碗に限りません。例えば重文「唐物肩衝茶入 銘 初花」。「楢柴」,「新田」と並び,天下の三肩衝と称された名茶入です。花入の傑作とも言うべき,国宝「青磁下蕪花入」(アルカンシエール財団蔵)や漆黒の釉が特徴的な仁清の重文「色絵若松図茶壺」(文化庁蔵)など,世に名品と知られる作品は枚挙にいとまがありません。さらには,牧谿筆の国宝「観音猿鶴図」(大徳寺所蔵)など,やきものにとどまらず,茶の湯の空間を構成する絵画,書跡,漆工,金工等各分野にわたる名品が勢ぞろいします。これだけの規模で開催される「茶の湯」の展覧会は,1980年の「茶の美術」展以来,実に37年ぶりのこととなります。
重文 唐物肩衝茶入 銘 初花
中国 南宋~元時代・13~14世紀
德川記念財団蔵
展示期間:4月11日~4月23日
名品でたどる茶の湯の歴史,茶の湯の美。
茶の湯の価値観や茶湯道具の受容は,時代とともにどのように変化し,どのように引き継がれていったのかを,名品を通じて御覧ください。
※ここに挙げた作品のうち,期間限定で展示されるものは,以下のとおりです。
国宝「曜変天目 稲葉天目」:4月11日~5月7日
国宝「大井戸茶碗 喜左衛門井戸」:4月28日~6月4日
重文「赤楽茶碗 銘 無一物」:4月11日~5月7日
重文「唐物肩衝茶入 銘 初花」:4月11日~4月23日
国宝「観音猿鶴図」:4月11日~5月7日
東京国立博物館
(住所)〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
- 問合せ
- 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分,又は東京メトロ上野駅・根津駅,京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
- 開館時間
- 9:30~17:00,特定日,時間延長あり (入場は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日,ただし5月1日(月)は開館
- 観覧料
- 一般¥1600, 大学生¥1200, 高校生¥900
※中学生以下無料 - 展覧会公式サイト
- http://chanoyu2017.jp/