2018年9月25日
京のかたな
京都国立博物館 工芸室主任研究員 末兼俊彦
王城の地・京都では,平安時代から現代に至るまで多くの刀工が工房を構え,あまたの名刀を生み出してきました。これら京都で製作された刀剣は,常に日本刀最上位の格式を誇り,公家,武家を問わず珍重され,とりわけ江戸時代以降は武家の表道具として,大名間の贈答品の代表として取り扱われました。

国宝 太刀 銘三条(名物三日月宗近)
東京国立博物館(通期展示)
本展では,現存する京都=山城系鍛冶の作品のうち,国宝指定作品17件と,著名刀工の代表作を中心に展示し,平安時代から平成にいたる山城鍛冶の技術系譜と,刀剣文化に与えた影響を探ります。

国宝 太刀 銘則国
京都国立博物館(通期展示)
源平の争乱の中で,皇位継承の象徴である三種の神器(鏡,剣,玉)を欠いたまま即位した後鳥羽天皇。失われた宝剣を求めて自ら刀を作ったという伝説が残ります。

国宝 後鳥羽天皇像
大阪・水無瀬神宮(9/29~10/14展示)
中世には応仁の乱,天文法華の乱といった京都を主戦場とした多くの戦乱の結果,山城鍛冶は衰退しました。そのような中で,鍛冶の火を絶やさず技術と伝統をつないだ長谷部派や信国派といった苦難の時代の刀工も御紹介します。
そして,戦国時代の終焉と,それに伴う上方の発展に伴って,京都の鍛冶も再び活気を取り戻します。「新刀の祖」とうたわれた埋忠明寿,「日本鍛冶総匠」伊賀守金道(三品派),堀川国広(堀川派)の作品を通じて豪壮華麗な桃山文化の枠を御堪能ください。

重要文化財 阿国歌舞伎図屏風 部分
京都国立博物館(通期展示)
また,近世の京都で,公家でありながら自ら刀を鍛えた千種有功や有栖川宮などを紹介し,武家文化だけでなく,公家・町衆を含めた京文化の中で刀工たちが果たした役割に迫ります。

祇園祭礼図屏風 右隻
京都国立博物館(9/29~10/28展示)
京都国立博物館では初めてとなる本格的に刀剣を紹介する特別展となります。戦の道具でありながら,破邪の守りとして,また美術鑑賞品として今に伝えられた鋼の美を,是非御覧ください。
京都国立博物館
(住所)〒605-0931 京都市東山区茶屋町527
- 問合せ
- 075-525-2473(テレホンサービス)
- 交通
- JR京都駅下車,市バスD1のりばから100号,D2のりばから206・208号系統にて「博物館・三十三間堂前」下車,徒歩すぐ
京阪七条駅下車,徒歩7分 - 開館時間
- 火曜日~木曜日 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
※庭園のみ開館期間中以外の毎週金曜日・土曜日は20:00閉館 - ホームページ
-
https://www.kyohaku.go.jp/
特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」
- 開催時間
- 9月29日(土)~11月25日(日)
- 開催時間
- 9:30~18:00
※毎週金曜日・土曜日は20:00閉館
※入館は閉館30分前まで - 休館日
- 毎週月曜日※ただし,10月8日は開館し,翌火曜日休館
- 観覧料
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一般 大学生 高校生 当日 1,500円 1,200円 700円 前売・団体 1,300円 1,000円 500円
- ※団体は20名以上
- ※中学生以下,障害者とその介護者1名は無料となります(要証明)
- ※大学生・高校生は学生証をご提示ください。
- ※キャンパスメンバーズは学生証または教職員証をご提示いただくと各種当日料金より500円引きとなります。
- ※前売券は,7月30日(月)~9月28日(金)まで販売
- ホームページ
-
https://katana2018.jp/