2020年6月2日
※会期が変更になりました。詳細はHPを御覧ください。
御大典記念特別展「よみがえる正倉院宝物」
―再現模造にみる天平の技―
奈良国立博物館 美術室長 岩井共二
これから紹介する展覧会は,この春,4月18日から開催を予定していた展覧会です。現在,奈良国立博物館は新型コロナウイルス感染症予防対策により臨時休館しており,開幕の日程も確定しておりませんが,開幕できることを願いつつ,御紹介するものです。
例年,秋に開催される「正倉院展」では,東大寺の北にある正倉院に伝えられる正倉院宝物を公開しており,毎年,多くの方々が来館する奈良の秋の風物詩となっております。今回の展覧会は,近現代に製作された正倉院宝物の模造を御覧いただく展覧会です。
正倉院宝物の本格的な模造製作は,明治時代以来,修理と一体のものとして行われてきました。昭和47年(1972)以降は宝物を管理している宮内庁正倉院事務所により,正倉院宝物の材質や技法,構造の忠実な再現に重点をおいた再現的な模造製作が進められました。これは簡単なことではありません。正倉院宝物が作られてから千年を超える月日の中で,失われてしまった技術や,象牙や玳瑁(タイマイというウミガメの甲羅)のように,現在入手困難な素材もあります。模造の製作にあたっては,最新の科学的調査や研究の成果を反映し,そして人間国宝の方々を始め,伝統技術を持った名工たちによる熟練の技によって,優れた作品が数多く生み出されたのです。

模造 螺鈿紫檀五弦琵琶
宮内庁正倉院事務所蔵
奈良時代に聖武天皇が東大寺の大仏を建立した頃には,中国・唐から国際色豊かで優れた美術工芸品や技術が伝えられました。そして,高価な素材と高度な技術を惜しむこと無く注ぎ込んだ,究極の美術工芸品とも言うべき名品が正倉院宝物として伝えられています。現在は色があせてしまったり,朽損してしまった宝物もありますが,再現模造によって1300年前の製作当初の姿がよみがえりました。

模造 螺鈿玉帯箱
東京国立博物館蔵
また,天平の技をよみがえらせた現代の名工たちの「超絶技巧」にも注目していただきたいと願っております。近年,日本の伝統技術は,日本の文化力を示すものとして注目されつつあります。この展覧会を通じて,現代によみがえった天平の技と美を間近に触れ,その技術を日本の財産として後世に継承することの意義を感じていただければ幸いです。
- 会期
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令和2年4月18日(土)~6月14日(日)
令和2年7月4日(土)~9月6日(日)
※会期を変更して開催いたします。 - 休館日
- 毎週月曜日
- 開館時間
- 午前9時30分~午後5時 ※毎週金曜日は午後7時まで(入館は閉館の30分前まで)
※名品展(なら仏像館・青銅器館)は開館時間が異なります。 - 観覧料金
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一般 高校・大学生 小・中学生 当日 1,500円 1,000円 500円 前売・団体 1,300円 800円 300円
※ 障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
※ 本展の観覧券で,同時開催の名品展(なら仏像館・青銅器館)も御覧になれます。
※ 奈良国立博物館キャンパスメンバーズ(https://www.narahaku.go.jp/06.html)会員の学生の方は,当日券を400円でお求めいただけます。観覧券売場にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出,学生証を御提示ください。 (教職員は団体料金)
- 展覧会詳細HP
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https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2020toku/homotsu/homotsu_index.html
奈良国立博物館
(住所)〒630-8213 奈良県奈良市登大路町50番地
- 問合せ
- 050-5542-8600(ハローダイヤル)
- 交通
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近鉄奈良駅下車 登大路町を東へ徒歩約15分
JR奈良駅又は近鉄奈良駅から市内循環バス外回り(2番)
「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ
- 開館時間
- 午前9時30分~午後5時まで
※毎週金,土曜日は,名品展のみ午後8時まで
(入館は閉館の30分前まで) - 休館日
- 毎週月曜日(休日の場合はその翌日。連休の場合は終了後の翌日。)
- 観覧料
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(特別展は別料金です)
個人 一般 700円 大学生 350円
障害者の方と同数の介護者は無料です(障害者手帳が必要です)。
70才以上の方は無料です(年齢のわかるものが必要です)。 - ホームページ
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https://www.narahaku.go.jp/