2020年6月22日
※新型コロナウイルス感染症の影響で,会期を
令和2年12月19日(土)~令和3年1月31日(日)
に変更して開催します。
文化財保存修理所開所四十周年記念 特別企画
文化財修理の最先端
京都国立博物館 保存修理指導室長 大原嘉豊
京都国立博物館の敷地内に併設されている文化財保存修理所は,指定文化財を安全に修理することを目的とし,1980年7月に設置されました。公営修復施設としては日本で初めてのものであり,2020年に開所40周年を迎えました。これを記念し,近年修復された文化財の中でも特に注目される作品を,以下のような構成で展示いたします。
Ⅰ 表具の価値―文化財としての表装―
西洋で画家が絵に相応しい額縁を選ぶように,日本では表装に際して絵に相応しい染織品を取り合わせます。通常,この染織品は修理の際に交換されますが,重要な歴史性を持つ場合は保存して再利用します。ここでは,表装に焦点をあてて紹介します。
Ⅱ 修理がもたらした奇跡―修復で得られた発見―
文化財の修理では,仏像の胎内や絵の裏など,普段見ることができない部分を見ることができます。その際,制作の秘密を示すような発見が得られることがあります。近年の修理によって得られた,画期的な新知見を紹介します。
石燈籠図屏風(右隻) 伊藤若冲筆 京都国立博物館蔵
Ⅲ 最新の修復成果―ベストな修理を目指して―
文化財の修理は,各作品の特性に応じてもっとも適当と考えられる修理方針が,所蔵者,修理技術者,研究者の協議を経て決定されます。染織分野では,作品ごとにまったく異なる修理方法が採用される場合も少なくありません。近年の修理の中から,特に注目すべき成果を紹介します。
御簾に松文様小袖 京都国立博物館蔵
Ⅳ 彫刻の修理
彫刻の修理は,接合部の緩み等に起因する構造的な問題を解消するための本格的な解体修理と,彩色を主体とした表面層の修理とに大別されます。多くが信仰の対象である彫刻作品は,信仰上の配慮が必要な面もあります。ここでは,書画とは異なる彫刻の修理について紹介します。
Ⅴ 修理 いまむかし―過去から未来へ―
書画の修理は伝統的な技術を基本としていますが,文化財修理が専門化するに伴い,その内容は進化を続けています。過去の技術を基本としながらも,科学的観点から見直しが続けられています。近代以前の過去の修理を振り返りながら,現在の修理と比較します。
日本の文化財は大半が脆弱な有機物を素材としており,約百年に一度は定期的な修理を行わなければなりません。異なる素材を複合させながら発達した日本の修復技術は,古い作品を大切にし,後世へ伝えようとする人々の心と日本の自然が生み出した,人文遺産そのものです。
この特別企画では,世代を超えて受け継がれてきた文化財を,文化財修理という切り口から御覧いただければ幸いです。
京都国立博物館
(住所)〒605-0931 京都市東山区茶屋町527
- 問合せ
- 075-525-2473(テレホンサービス)
- 交通
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JR京都駅下車,京都駅前D1・D2のりばから市バス各系統にて博物館・三十三間堂前下車,徒歩すぐ
- 開館時間
- 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(8月10日(月)は除く),7月22日(水),
10月9日(金),12月28日(月)~1月1日(金・祝),3月26日(金) - 観覧料
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一般 700円,大学生 350円,高校生以下及び満18歳未満,満70歳以上の方は無料です(年齢のわかるものを御提示ください)。
※大学生の方は学生証を御提示ください。
※障害者手帳等(*)を御提示の方とその介護者1名は,観覧料が無料になります。
(*) 身体障害者手帳,療育手帳,精神障害者保健福祉手帳,戦傷病者手帳,被爆者健康手帳
※キャンパスメンバーズ(含教職員)は,学生証又は教職員証を御提示いただくと無料になります。 - ホームページ
- https://www.kyohaku.go.jp/