2021年5月12日
鳥獣戯画展スピンオフ
東京国⽴博物館 学芸研究部調査研究課絵画・彫刻室 主任研究員(~3月末日)
文化財防災センター(兼)
九州国立博物館 学芸部博物館科学課保存修復室 主任研究員(4月~)
鷲頭桂
本記事は緊急事態宣言の発令前より予定していたものです。東京国立博物館は,新型コロナウイルス感染症拡大防止のため,政府からの要請により,4月25 日(日)から当面の間休館しております。再開は未定です。最新情報は東京国立博物館ウェブサイトで御確認ください。
昨年春に発売されたNintendo Switchのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が,いわゆる「おうち時間」の長期化もあって,今なお根強い人気を誇っていますが,トーハク(東京国立博物館)でもこの春は,特別展も,総合文化展(平常展)も「どうぶつ尽くし」です。
特集「鳥獣戯画展スピンオフ」(3月23日~6月6日,本館14室,特別1室,特別2室)は,平成館で開催される特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」(4月13日~5月30日)のいわば番外編。
「鳥獣戯画」は,日本絵画のなかでも抜群の人気と知名度を誇る作品です。しかしながら,「では,何を描いた絵巻か?」と問われると,一部の専門家以外は言葉に窮してしまうのではないでしょうか。そこで今回の特集では,この絵巻の中心的なモチーフである動物たちに注目し,3つの視点から絵巻に迫ります。

本館14室(手前:藍釉兎 中国 唐時代・8世紀 横河民輔氏寄贈 東京国立博物館蔵)
動物の造形化は,「鳥獣戯画」よりも遥か昔から行われてきました。古今東西の人々は,動物のかたちにどんな意味や物語を託してきたのでしょう。それらと「鳥獣戯画」には何か共通点はあるのでしょうか?

本館特別2室(手前:竹菱葵紋散蒔絵双六盤 江戸時代・文化13年(1816) 東京国立博物館蔵)
「鳥獣戯画」のなかで最も有名なのは甲巻です。しかし,この動物たちは可愛いだけではありません。動物たちが何をしているのか,手に持っている道具は何なのか。本館特別2室では,絵画や工芸品を通して甲巻を深掘りします。

本館特別1室(獣形帽額縮図 吉田静峯模,森田亀太郎彩色 大正4年(1915)11月25日摸,
大正5年(1916)彩色 東京国立博物館蔵 ※会期中巻替えあり)
主題は何か,誰が,何のために描いたのか。いまだ議論が続いている「鳥獣戯画」ですが,その謎の多さが人々を惹きつける要因のひとつなのかもしれません。本館特別1室では,「鳥獣戯画」の成立する背景にあった作品群や,それから派生した作例を御紹介し,絵巻の魅力を多角的に探ります。

「博物館で動物めぐり」メインビジュアル
このほかにも,「博物館で動物めぐり」という企画が,本館,東洋館,平成館のそれぞれの展示室をつかって開催中です。各研究員が選りすぐった動物モチーフの作品が展示されています。また,4月下旬には,東京都恩賜上野動物園,国立科学博物館と当館の3館園連携で開催する「上野の山で動物めぐり」の関連展示,特集「親と子のギャラリー 動物のうごき」(4月27日~5月30日,平成館企画展示室)も始まります。
この機会に,動物表現の多彩さに触れ,皆様の心に残る作品に出会っていただけたら幸いです。
動物三昧のトーハク。最後に文化財活用センターの「どうぶつ」も御紹介させてください。
ColBaseで「あつ森」を楽しもう!
https://cpcp.nich.go.jp/modules/rblog/index.php/1/2021/01/14/blog52/
『あつ森』マイデザイン 〈ふゆきなこそで〉を公開!
https://cpcp.nich.go.jp/modules/rblog/index.php/1/2021/03/16/blog60/
これも「どうぶつ」!?この春は皆様どうぞトーハクに是非おあつまりください。
東京国立博物館
(住所)〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
- 問合せ
- TEL:ハローダイヤル050-5541-8600
- 交通
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JR上野駅公園口,鶯谷駅南口から徒歩10分
東京メトロ上野駅・根津駅,京成電鉄京成上野駅から徒歩15分 - 開館時間
- 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日 ※5月3日(月・祝)は開館
- 観覧料
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一般1,000円,大学生500円
【事前予約制】
入館はオンラインによる事前予約(日時指定券)制です。入館無料の方や会員の方を含め,すべての来館者が対象となります。詳細は東京国立博物館ウェブサイトを御覧ください。
※高校生以下及び18歳未満,満70歳以上の方は無料です。入館の際に年齢がわかるものを御提示ください。
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳等を御提示ください。
※特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」(4月13日~5月30日)は別途事前予約(日時指定券)及び観覧料が必要です。
※会期・開館日・開館時間・展示作品・展示期間・入館方法等については,今後の諸事情により変更する場合がありますので,各館ウェブサイトで御確認ください。 - ホームページ
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https://www.tnm.jp/