2021年6月25日
写真コンテスト「飛鳥の木」
奈良文化財研究所 飛鳥資料館 主任研究員・石田由紀子
飛鳥資料館では、2011年度に「奥飛鳥の文化的景観」が重要文化的景観に選定されたことを契機に、毎年写真コンテストを開催しています。
コンテスト応募をきっかけに飛鳥地域を実際に歩いて、その魅力を再発見してもらうことが目的です。いわば飛鳥地域全体をフィールドとした参加型の企画展といえます。
応募作品は原則全点を展示しており、入賞者は正一位から正五位までの古代の官位になぞらえて表彰しています。また、来館者にお気に入りの一枚を選んで投票してもらい、最多投票者は従一位となる来館者投票も毎年人気があります。
12回目となる今回は、飛鳥の自然を代表する風物の一つである「木」をテーマに、写真コンテストを開催します。
明日香村は、村面積の約65%を森林が占めています。甘樫丘、栢森、真弓などの木の名前のついた地名や、槻木の広場や両槻宮などの『日本書紀』に登場する名称からは、飛鳥の木と歴史のつながりを感じます。
木々に囲まれた明日香村の村落風景(明日香村祝戸)
杉林のなかを旧街道が続く(芋峠周辺)
村に生える木々は、今ではその大半がスギやヒノキの植林となっていますが、少し前まではクヌギなどの広葉樹の森が広がっていました。
扇状地の地形を生かした果樹園、薪炭の材料になった樹木。飛鳥の木は、飛鳥の人々の暮らしとも繋がってきました。
シイタケ栽培用のクヌギの原木(明日香村尾曾)
丘陵地形を利用したミカン栽培(明日香村平田)
遺跡のかたわらに、集落のまわりに、古寺の境内に、すっくと生えた飛鳥の木。
写真コンテストでは、「木を題材とし、自然と人々の営みが一体となった飛鳥の魅力が伝わる写真」をテーマに作品を募集・展示します。
橘寺の参道にたたずむ桜の木(明日香村橘)
長引くコロナ禍のなか、私たちの生活様式はこれまでとは大きく変化しました。その一方で、飛鳥の自然は季節ごとにいつもと変わらぬ姿を見せてくれます。
写真コンテスト「飛鳥の木」を通して、木とともに長い時間をかけて育まれた飛鳥の風土や歴史に想いを馳せ、飛鳥の新たな一面を発見してもらえればさいわいです。
奈良文化財研究所 飛鳥資料館
(住所)〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601
- 問合せ
- TEL:0744-54-3561
- 交通
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近鉄橿原神宮前駅・飛鳥駅から 明日香周遊バス(赤かめ)「明日香奥山・飛鳥資料館西」下車
又は近鉄・JR桜井駅から 奈良交通(明日香奥山・飛鳥資料館西行)バスで「飛鳥資料館」下車 - 開館時間
- 9:00~16:30(入場は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日 (8月9日(月)は開館、8月10日(火)は休館)
- 観覧料
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一般350円、大学生200円、高校生および18歳未満、70歳以上は無料(年齢のわかるものが必要です)。
障がい者の方とその介護者1名は無料。手帳のご提示が必要です
※8月15日(日)は無料入館日 - ホームページ
- https://www.nabunken.go.jp/asuka/contest/12.html