2021年7月26日
特別展「京(みやこ)の国宝―守り伝える日本のたから―」
京都国立博物館 美術室研究員 森 道彦
オリンピック・パラリンピックが日本にやってくるこの夏、当館は文化庁と共同し、京都ゆかりの名宝を一堂に集めた特別展を開催いたします。本展は京都の人や文化に関わる数多の名高い国宝、皇室の至宝の数々を展観しながら、文化財のもつ不滅の魅力とその意義、またそうした貴重な品々を守り伝えてきた我が国の文化財保護のあゆみをご紹介します。

国宝 梵天坐像 京都・東寺(教王護国寺)<通期展示>
第一章 京都 ―文化財の都市
はじめに、文化財保護の歴史と京都に伝わる宝物の保護のあゆみを取り上げます。京都は長らく文化財保護行政の先進地であり、当館もその重要な一翼を担ってきました。会場では当時を物語る資料や、先人たちが守らんとした日本の歴史と文化を代表する名宝の数々を前に、貴重な文化財を伝えてきた私たちの社会の道のりをたどります。

国宝 御堂関白記 自筆本 京都・公益財団法人陽明文庫<展示替あり>
第二章 京の国宝
第二章では、作品の分野ごとに、京都ゆかりの国宝の数々をご覧いただきます。日本に伝わるいにしえの品々のうち、特に重要なものを「重要文化財」「国宝」に指定し、国を挙げて保護する現行の制度は、昭和25年(1950)に制定された「文化財保護法」に始まります。重文や国宝は今や私たちにすっかり耳なじみの言葉となり、今日までの約70年間に国指定となった美術工芸品は10,808件(うち国宝、897件)、そしてそのうち1,900件余り(うち国宝、185件)、6分の1以上が京都府内に所蔵されています。

十二天像のうち水天 京都国立博物館<展示替あり>
第三章 皇室の至宝
文化財を守り伝えるにあたって行政と共に大きな役割を果たしてきたのが、古来、京都にゆかり深い皇室です。明治維新に伴って文化財の多くが危機にさらされる中、東海や近畿を中心にあった皇室ゆかりの施設やその収蔵品は、再び古の文化に人々の目を向かわせる契機をつくりました。皇室は古来の重要な伝世品を保管しつつ、多くの名宝の献納も新たに受け入れ、時に社寺に援助を与えるなどして、日本の歴史と文化の守護者として活動します。本章では、こうした皇室ゆかりの至宝を特に厳選してご紹介します。
第四章 今日の文化財保護
文化財保護には、多くの課題があります。まず、どこに何があるのか。それは学術的にいかなるもので、私たちの社会にとってどのような価値を持つのか。貴重な品々の所在や状態をいかに把握し、災厄から守ればよいのか。保存状態が悪化した場合、どのように修理を加えるかなど、多くの議論と事業が私たちの文化財を支えています。最後の第四章では、文化財保護に欠かせない現代の様々な取り組みについてご紹介します。
京都国立博物館
(住所)〒605-0931 京都市東山区茶屋町527
- 問合せ
- 075-525-2473(テレホンサービス)
- 交通
- JR京都駅下車、京都駅前D1・D2のりばから市バス各系統にて博物館・三十三間堂前下車、徒歩すぐ
- 開館時間
- 9:00~17:30(入館は17:00まで) ※夜間開館は実施しません。
- 休館日
- 月曜日 ※ただし8月9日(月・休)は開館、10日(火)休館
- 観覧料
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一般1,600円、大学生1,200円、高校生700円
※前売券・団体券はありません。
※大学生・高校生の方は、ご入館の際に学生証等をご提示ください。
※キャンパスメンバーズ(含教職員)は、学生証または教職員証をご提示いただくと、各種当日料金より500円引きとなります。(当日南門チケット売場のみの販売、なくなり次第終了)
※キャンパスメンバーズ以外の割引はありません。
※無料対象の方は以下の通りです(要証明)。未就学児、無料観覧券持参者を除き、無料対象の方も人数分の「無料日時指定観覧券」の予約・発券が必要となります。- 中学生以下
- 障害者の方とその介護者1名
- 清風会会員
- 国立文化財機構の特別支援者及び賛助会員
- 未就学児、無料観覧券持参者(「無料日時指定観覧券」の予約・発券は不要)
- 購入(予約)方法
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本展は、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、事前予約優先制を導入します。
ご来館前にローソンチケットにて人数分の「日時指定観覧券」をご購入、発券ください。無料対象の方(未就学児、無料観覧券持参者を除く)もローソンチケットにて人数分の「無料日時指定観覧券」のご予約、発券が必要です。いずれも数量限定で、なくなり次第終了します。
- ホームページ
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https://www.kyohaku.go.jp/
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/miyako2021/ (展覧会公式サイト)