2021年11月24日
文化財をデリバリー
ぶんかつアウトリーチプログラム
独立行政法人国立文化財機構文化財活用センター 企画担当研究員 小島有紀子
みなさんの住んでいる地域にはどんな文化財がありますか?
そもそも「文化財って何?」そんな問いかけがあったら、みなさん、どのように答えますか?
「ぶんかつアウトリーチプログラム」は文化財に親しみ、自らに問いかけ、考える力を養い、自分たちの地域や身の回りにある、人の手から手へ受け継がれてきた文化財を守り受け継いでいく力を育むために、文化財活用センターと東京国立博物館の教育普及室が共同で開発を行っているプログラムです。全国各地の博物館・美術館や小学校・中学校・高等学校のいつもの教室やワークショップスペースなどで実施しています。文化財の複製を輸送できる場所であれば、日本全国どんな地域でもご利用いただけます。
屏風用の照明で複製屏風を鑑賞している様子
特色は、高精細複製品を活用していること。文化財から取得した高精細画像などのデジタル技術と伝統的な職人の技によって制作された、肉眼では本物と見分けがつかぬほど精巧な複製品です。
現在提供しているプログラムは「松林図屛風」3コース(2022年度より2コース)「平家物語 一の谷・屋島合戦図屏風」1コース「風神雷神図/夏秋草図屏風」1コースの全5コース。プログラムに必要な複製品を含むキットとガイドを原則無料でお送りします。利用機関の学芸員や教員によるプログラム実施が可能ですが、ご希望に応じて、文化財活用センターまたは東京国立博物館から講師の派遣も行っています。その他、「遮光器土偶」など複製品のみの貸し出しも行っています。
プログラム①「自分だけの松林図屏風をつくってみよう!」の授業の様子
プログラム⑤「絵で読む平家物語」の授業の様子
参加した児童・生徒の皆さんからは「なぜ雨の粒をかかないのか」「(使っていた人は)こんな屏風があって夜はこわくないのか」「金色の雲や陸の神々しさが戦の声とか悲鳴をかき消している感じがする」などの意見が飛び出します(詳しい実施報告は『ぶんかつアウトリーチプログラム報告書』(2019・2020)に記載しています)。プログラムを実施した学校の先生からも「生徒の意見を全て肯定的に捉えることにより、意見を言ってもいいんだという気持ちが児童の中に生まれたように感じます」といったご意見などをいただきました。 「文化財って何?」という問いかけに、いつか日本中の人が自分の考えで回答できるようになるために、文化財に親しむ入り口(まさに「トビラ」ですね)のひとつとして継続してゆくとともに、理解の段階に応じたプログラムの開発と提供を進めていければ、と考えています。ぜひ、ご利用ください。
文化財活用センター
(住所)〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 東京国立博物館 東洋館5階
- 問合せ
- 03-5834-2856(平日9:00-17:00)
文化財活用センター企画担当問い合わせフォーム
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- 「ぶんかつアウトリーチプログラム」の2021年度分の受付は終了しています。2022年度分の受付開始は2022年2月14日(月)10:00を予定しています。詳しくはWEBサイトをご確認ください。