2021年12月15日
博物館に初もうで
―今年はトーハク150周年!めでタイガー!!―
東京国立博物館 列品管理課平常展調整室 研究員 古川攝一
東京国立博物館では「博物館に初もうで」と題し、毎年1月に干支にちなんだ展示を行っています。どのような作品を展示するのか、に加えて、タイトルをどうするか、は担当者の悩みどころです。来年の干支は寅です。さらに、文部省博物局が最初の博覧会を行ったのが明治5年(1872)、つまり、当館が誕生して150周年を迎えます。おめでたい年にちなみ、タイトルは「今年はトーハク150周年!めでタイガー!!」としました。
博物館に初もうで ポスタービジュアル
美術作品の中で虎がどのようにあらわされてきたのか、「神獣・仏教にかかわる虎」「龍虎図」「日本の勇猛な虎」「アジアの多彩な虎」「博物学におけるネコ科の虎」という5つの章から、日本やアジアの作品を通じてご覧いただきます。ここでは展示作品を3点ご紹介します。
安土桃山時代の堺で活躍した絵師、曽我直庵が描いた「龍虎図屏風」の虎です。
竹林から姿を現した虎の姿を迫力満点に描きます。今にも画面から飛び出しそうです。生きた虎を見る機会がなかった日本では、本図のような、どことなく猫に似た雰囲気の虎が典型的なイメージとして描き継がれました。
一方、アジアの虎に目を向けると、朝鮮時代・19世紀に作られた、朝鮮王朝役人の官服につける紋章の虎が印象的です。
紋章(胸背) 朝鮮時代・19世紀
東京国立博物館蔵
虎とも豹とも区別がつかない、独特の虎の表現です。江戸時代、朝鮮国王から徳川将軍への贈答品には、「虎皮」がありました。展覧会には、朝鮮通信使が持参した「朝鮮国王国書」および、贈答品目録にあたる「朝鮮国王国書別幅」も展示されます。
江戸時代も後半になると、博物学への関心の高まりから、本物の虎を写生した作品も残されるようになります。「博物館写生図(虎皮)」は、その名の通り虎皮を写生した作品です。
画面右上には「鼻ノ尖ヨリ尾先迄八尺五寸」「尾ノ長サ弐尺八寸」などのメモ書きがあり、写した虎皮のサイズが記録されています。顔の描写は一本一本の毛まで克明に描かれていて、生々しさが伝わります。
ほかにも虎にまつわる様々な美術作品が展示されます。トーハクと皆様にとってめでタイガーな一年のスタートとなりますよう、本展覧会をお楽しみくださいましたら幸いです。
東京国立博物館
(住所)〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
- 問合せ
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 交通
-
- JR上野駅公園口、鶯谷駅南口から徒歩10分
- 東京メトロ上野駅・根津駅、京成電鉄京成上野駅から徒歩15分
- 開館時間
- 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日、12月26日(日)~2022年1月1日(土・祝)、
1月4日(火) 、1月11日(火)※2022年1月3日(月)、1月10日(月・祝)は開館
- 観覧料
- 一般1,000円、大学生500円
【オンラインによる事前予約(日時指定券)推奨】※1月2日(日)、3日(月)に限り当日のみ有効の日時指定券を正門にて若干枚数お配りします(無くなり次第終了)。詳細は当館ウェブサイトをご覧ください。
※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳等をご提示ください。
※ユネスコ無形文化遺産
特別展「体感! 日本の伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界―」(2022年1月7日(金)~3月13日(日))、
特別展「ポンペイ」 (2022年1月14日(金)~4月3日(日))は別途観覧料が必要です(事前予約〈日時指定券〉推奨)。※会期・開館日・開館時間・展示作品・展示期間・入館方法等については、今後の諸事情により変更する場合がありますので、当館ウェブサイトでご確認ください。
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