2022年2月25日
伝教大師1200年大遠忌記念
特別展「最澄と天台宗のすべて」
九州国立博物館 学芸部企画課特別展室 研究員 大澤 信
平安時代のはじめに天台宗を開いた伝教大師最澄といえば皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか。いろいろなエピソードから察するに、曲がったことが大嫌いで、言葉と背中で多くの人びとを仏道に導いた究極の求道者でした。その高弟円仁によれば、最澄は色白で高身長(6、7尺。約180~210cm)だったと伝えています。また首の左側と左肘あたりにホクロがあったという記録があり、この条件に見事に一致した方はもしかして最澄の生まれ変わりかもしれません。ぜひ一度確かめてみてください。
さて、今回の展覧会では、最澄が活動拠点にした比叡山延暦寺はもちろんのこと、九州はじめ西日本を中心とした天台ゆかりの寺社に伝わる宝物約120件が一堂に会します。現存最古の最澄の肖像彫刻「伝教大師(最澄)坐像」(滋賀・観音寺蔵)(挿図1)、入唐求法の旅から帰国して天台密教を確立した円仁ゆかりの「聖観音菩薩立像」(滋賀・延暦寺蔵)などスター級の仏さまはもちろん、60年に一度しか公開されない秘仏「菩薩遊戯坐像」(愛媛・等妙寺蔵)(挿図2)、コワモテの不動明王が癒し系の神に姿を変えた神仏習合像「太郎天及び二童子立像」(大分・長安寺蔵)など、知る人ぞ知るマニアックな仏さまにもお出ましいただきます。

重要文化財 伝教大師(最澄)坐像 鎌倉時代 貞応3年(1224) 滋賀・観音寺

菩薩遊戯坐像(伝如意輪観音) 鎌倉時代 13世紀 愛媛・等妙寺
また延暦寺の中でもっとも厳しい修行のひとつである「千日回峰行」の特集コーナーも見どころです。千日回峰行とは、7年間で延べ千日、比叡山の峰々を巡る荒行で、時には京都の市街まで練り歩き、その距離は地球一周分となる3万8千キロにもおよびます。七百日に達したところで、堂入りという9日間断食・断水・不眠・不臥で不動明王の真言を唱え続ける命がけの行もあります。今回はこの千日回峰行について、過去の映像、イラスト、そして私たちが実際に歩いてみた体験談(あまりもの辛さに涙を流す人も…)などを交えてご紹介します。
最澄の熱い思いとともに日本全国に広まった天台ワールド、九州国立博物館でその旅がはじまります。


千日回峰行では、300カ所ほどの神や仏、霊木や霊石に祈りを捧げます。生きとし生けるものすべてが仏さまなので、このカエルちゃんも仏さまの化身かもしれません。
九州国立博物館
(住所)〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4-7-2
- 問合せ
- 050-5542-8600
(ハローダイヤル 受付時間 午前9時~午後8時/年中無休) - 交通
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- JR:JR博多駅からJR鹿児島本線(快速約15分)でJR二日市駅下車、JR二日市駅から西鉄二日市駅(徒歩約12分、バス約6分)、西鉄二日市駅から西鉄太宰府線利用。
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- 九州自動車道:太宰府ICまたは筑紫野ICから高雄交差点経由で約20分。
- 福岡都市高速:水城出口から高雄交差点経由で約20分。
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- 西鉄バス
- 博多バスターミナル(1階11番のりば太宰府行き)から西鉄太宰府駅下車(所要時間約40分)、徒歩約10分。
- 開館時間
- 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
- ※状況により開館時間を変更することがありますので、最新の開館時間は九州国立博物館公式ホームページでご確認ください。
- 休館日
- 月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館、翌日休館)、年末
伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」
- 開催期間
- 2月8日(火)~3月21日(月・祝)
- 開催場所
- 九州国立博物館 3階 特別展示室
- 観覧料
- 一般1,900円、高大生1,200円、小中生800円
※高大生・小中生は学生証等の提示をお願いします。
※上記料金で九州国立博物館4階「文化交流展(平常展)」も御観覧いただけます。
※障がい者手帳等を御持参の方とその介護者1名は無料です。展示室入口にて障がい者手帳等(詳細についてはHP等を御確認ください)を御提示ください。
※キャンパスメンバーズの方は割引料金で御購入いただけます。券売所にて学生証、教職員証等を御提示ください。
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