2022年10月25日
秋期特別展「飛鳥美人 高松塚古墳の魅力」
奈良文化財研究所 飛鳥資料館 学芸室長 石橋茂登
昭和47年(1972)3月、高松塚古墳壁画が発見されました。発見は社会的熱狂と飛鳥ブームを巻き起こし、壁画は国宝に、出土品は重要文化財として指定されました。女子群像は飛鳥美人として飛鳥を代表する文化財となり、寄附金付記念切手はいまもって歴代最多発行部数を誇っています。その後、紆余曲折を経て壁画・石室は解体され、現在は修理施設で保管・公開されています。
本展覧会では、日本中を魅了した高松塚古墳壁画と出土品の魅力にあらためて迫るとともに、奈良文化財研究所のとりくみを中心に近年の調査研究成果をわかりやすく紹介します。これまでの50年をふりかえり、国宝中の国宝とも言われる高松塚古墳壁画と出土品を次の50年へとつなげる機会となれば幸いです。

高松塚古墳 西壁女子群像(模写)
高松塚古墳は、7世紀末~8世紀初頭につくられた直径23mほどの円墳です。埋葬施設である石室内には漆喰が塗られ、天井には星宿図、壁面には四神や男子群像、「飛鳥美人」として有名な女子群像が描かれています。
鎌倉時代の盗掘により、南壁に描かれていたと考えられている朱雀は失われてしまいましたが、壁画のほかにも盗掘を免れた海獣葡萄鏡やガラス玉類、棺や大刀の飾金具などの優れた副葬品も見つかっています。

重要文化財 高松塚古墳出土品
高松塚古墳壁画の発見は、日本中に驚きと感動をあたえ、日本全国で飛鳥ブーム・考古学ブームが巻き起こりました。また、壁画発見を契機に、明日香村をはじめとする飛鳥地域の貴重な景観・風土を保護する動きも一層高まりました。当時の新聞や雑誌、8mmフィルムからは、高松塚古墳をめぐる熱気を感じることができます。

高松塚古墳 東壁壁画(コロタイプ印刷複製)
本展覧会では、下記の展示品を通して高松塚古墳の魅力をご紹介します。
●主な展示品
①前田青邨監修壁画模写
②コロタイプ印刷 発見当初の壁画写真パネル
③重要文化財 高松塚古墳出土品
④御嶺山古墳出土 鐶金具
⑤高松塚古墳記念切手の製作関係資料
⑥昭和48年撮影8mmフィルム
奈良文化財研究所 飛鳥資料館
(住所)〒634-0102
奈良県高市郡明日香村奥山601
- 問合せ
- TEL:0744-54-3561
- 交通
- 近鉄橿原神宮前駅・飛鳥駅から明日香周遊バス(赤かめ)「明日香奥山・飛鳥資料館西」下車
- 又は近鉄・JR桜井駅から奈良交通(明日香奥山・飛鳥資料館西行)バスで「飛鳥資料館」下車
- 開館時間
- 9:00~16:30(入場は閉館30分前まで)
- 休館日
- 毎週月曜日
- 観覧料
- 一般350円、大学生200円、高校生および18歳未満、70歳以上は無料(年齢のわかるものが必要です)。障がい者の方とその介護者1名は無料。手帳のご提示が必要です。
- ※11月3日(木・祝)は無料入館日
- 特別展会期
- 2022年10月21日(金)~12月18日(日)
