2023年4月25日
親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞ー生涯と名宝」
京都国立博物館 調査・国際連携室 研究員 上杉 智英
2023年は浄土真宗を開いた親鸞聖人(1173~1262)の生誕850年にあたり、京都国立博物館では特別展「親鸞ー生涯と名宝」を開催いたします。京都に生まれ、9歳で出家して比叡山で修行に励みますが、29歳で山を下り、法然の弟子となります。そこですべての人が平等に救われるという阿弥陀仏の本願念仏の教えに出遇うも、法然教団は弾圧を受け、親鸞も35歳で越後に流罪となります。その後、罪が赦された親鸞は関東へ赴き、長く布教に励み、やがて京都へと戻り、晩年まで主著『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)や「和讃」など多くの著作の執筆や推敲を重ねました。その90年の生涯と教えは今も多くの人を魅了して止みません。
あるいは、「親鸞」は知名度があるだけに、名前は聞いたことがあるけど、どんな人か知らない、という方も多いかもしれません。そんな方にも親鸞を知っていただけるよう、本展では生誕の地、京都に自筆の名号・著作・手紙をはじめ、彫像・影像・絵巻など浄土真宗各派の寺院が所蔵する法宝を集結し、「第1章 親鸞を導くものー七人の高僧ー」「第2章 親鸞の生涯」「第3章 親鸞と門弟」「第4章 親鸞と聖徳太子」「第5章 親鸞のことば」「第6章 浄土真宗の名宝ー障壁画・古筆ー」「第7章 親鸞の伝えるものー名号ー」の全7章で親鸞の魅力を紹介します。

似絵が伝える親鸞の面影
国宝 親鸞聖人影像(鏡御影)(部分)覚如賛 専阿弥陀仏筆
鎌倉時代(13世紀) 京都 西本願寺(5月2日~5月14日展示)
鏡に映したようにそっくりということから「鏡御影」と称される肖像画。似絵の名手である藤原信実の子、専阿弥陀仏が生前の親鸞を描いたものとされます。つり上がった眉、引き締まった口元を細密な線で描き、親鸞の面影を今に伝える末代無双の重宝。

唯一無二 親鸞自筆の根本聖典
国宝 教行信証(坂東本)(部分) 親鸞筆
鎌倉時代(13世紀) 京都 東本願寺
多くの経典と注釈書から念仏往生に関する文を引用し、自身の信仰を体系化した主著。東京の坂東報恩寺に伝来した「坂東本」は唯一の自筆本。親鸞60歳頃の筆跡とともに、80歳代と考えられる加筆・訂正もみられます。長年にわたる推敲の跡が親鸞の弛まぬ求道を物語っています。

「親鸞伝絵」の最終版 修理後、初公開
重要文化財 本願寺聖人伝絵(康永本) 巻上本(部分)(詞書)覚如筆
(絵)康楽寺円寂筆 南北朝時代 康永2年(1343) 京都 東本願寺(5月2日~5月21日展示)
親鸞の三十三回忌の翌年にあたる永仁3年(1295)、曽孫・覚如(1270~1351)によって初めて親鸞の生涯を描く絵巻物「親鸞伝絵」が制作されます。この全13段よりなる初稿本は兵災により失われてしまいますが、康永二年(1343)に全15段に増補した最終版が作られ、現代に親鸞の生涯を伝えています。

現存最古の『歎異抄』
重要文化財 歎異抄 巻上(部分)蓮如筆
室町時代(15世紀) 京都 西本願寺(5月2日~5月21日展示)
親鸞が60歳頃に関東から京都へ帰ると、関東ではその教えを曲解するものが現れました。それを嘆いた門弟によって書かれたもの。「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」「親鸞は弟子一人ももたずさふらう」などの親鸞の言葉と、異義に対する批判が記されています。
国宝11件、重要文化財75件を含む、過去最大の出陳件数181件となる850回目の親鸞聖人のお誕生会に是非、お越しください。
京都国立博物館
(住所)〒605-0931
京都市東山区茶屋町527
- 問合せ
- 075-525-2473(テレホンサービス)
- 交通
- JR京都駅下車、京都駅前D2のりばから市バス各系統にて博物館三十三間堂前下車、徒歩すぐ
- 開館時間
- 9:00~17:30 ※入館は閉館30分前まで
- 休館日
- 毎週月曜日
- 観覧料
- 一般¥1800 大学生¥1200 高校生¥700
- ※大学生・高校生の方は学生証をご提示ください。
- ※中学生以下は無料です。
- ※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。
- *身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証
- ※キャンパスメンバーズ(含教職員)は、学生証または教職員証をご提示いただくと、各種当日料金より500円引き(一般1,300円、大学生700円、高校生200円)となります(当日南門チケット売場のみの販売)。
