2023年10月25日
特別展「古代メキシコ ―マヤ・アステカ・テオティワカン」
九州国立博物館 学芸部展示課 小澤佳憲
この秋、九州国立博物館で、大注目の展覧会が開催されます。
特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」。
紀元前1世紀から16世紀のスペイン人の侵攻まで、中米で繁栄した3つの古代文明を紹介する展覧会です。
紀元前1世紀から6世紀中頃まで、メキシコ中央高原で栄えた古代都市テオティワカンは、精密な天体観測をもとに、古代メキシコ人の世界観・宗教観を形にした、大規模な計画都市でした。古代メキシコ人にとって重要な日の日の出の方向に合わせたとされる、中央に走る長大な直線道路「死者の大通り」を軸に、大通りの東に「太陽のピラミッド」、北に「月のピラミッド」、そして南には「羽毛の蛇ピラミッド」の3つの巨大神殿が、それぞれに持たされた性格に沿った位置に計画的に配されていて、最盛期には人口約10万人が住んだと考えられる大都市でした。都市の中には周辺地域の集団が住んだと考えられる地区などもあり、豊富な交易品などから、同時期のマヤやサポテカなど周辺諸文明との間に密な交流を持った国際都市であったともされます。

死のディスク石彫 テオティワカン文明 300~550年
メキシコ国立人類学博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX.
Archivo Digital de las Colecciones del Museo Nacional de Antropología.
INAH-CANON
一方、南東部のユカタン半島では同じ頃、マヤ文明が発達します。紀元前1000年頃より、メキシコ南部からグアテマラ、エクアドル、ベリーズなどにかけての熱帯雨林地域に広がったマヤ文明。紀元前1世紀頃には、各地で石造りの神殿を核とした都市国家が建造され、互いに戦争や交易を繰り広げながらその繁栄を謳歌しました。今回の展覧会では、都市国家「パレンケ」に注目し、中興の祖であるパカル王とその子孫の時代をあらわす出土遺物を展示しています。とくに、パカル王からそのひ孫までの主な業績を記した「96文字の石板」と、パカル王の妃イシュ・ツァクブ・アハウに比定される女性の出土人骨、通称「レイナ・ロハ(赤の女王)」が身につけていた豪華な副葬品一式は、アメリカ大陸以外では初公開であり、必見です!

赤の女王のマスク・冠・首飾り マヤ文明 7世紀後半
パレンケ遺跡博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Foto: Michel Zabé
テオティワカン文明衰退後のメキシコ中央高原で15世紀頃、メシーカ人が台頭し、アステカ帝国を樹立しました。アステカ帝国は、併存するマヤやミシュテカなどの諸民族に戦争をしかけ、彼らを支配下において奴隷などを集め、テスココ湖を埋め立てて建設された首都テノチティトランの大神殿テンプロ・マヨールで、彼らを生贄として神々にささげました。
16世紀、スペイン人が侵攻してくると、アステカに支配されていたマヤなど周辺諸部族も一斉に反旗を翻し、アステカ帝国は滅亡。マヤ諸部族も17世紀には支配され、メキシコ古代文明は滅びます。
戦争と交易、人身供儀などによって特徴づけられた古代メキシコ文明。この秋、九博で異文化を体感してみませんか?

鷲の戦士像 アステカ文明 1469~86年
テンプロ・マヨール博物館蔵
©Secretaría de Cultura-INAH-MEX. Museo del Templo Mayor
九州国立博物館
(住所)〒818-0118
福岡県太宰府市石坂4-7-2
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- 開館時間
- 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) 特別展期間中の金曜日・土曜日は午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで) ※状況により開館時間を変更することがありますので、最新の開館時間は九州国立博物館公式ホームページでご確認ください。
- 休館日
- 月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は開館、翌日休館)、年末
特別展「古代メキシコ ―マヤ・アステカ・テオティワカン」
- 開催期間
- 10月3日(火)~12月10日(日)
- 開催場所
- 九州国立博物館 3階 特別展示室
- 観覧料
- 一般2,000円、高大生1,300円、小中生900円
※高大生・小中生は学生証等の提示をお願いします。
※上記料金で九州国立博物館4階「文化交流展(平常展)」も御観覧いただけます。
※障がい者手帳等を御持参の方とその介護者1名は無料です。展示室入口にて障がい者手帳等(詳細についてはHP等を御確認ください)を御提示ください。
※キャンパスメンバーズの方は割引料金で御購入いただけます。券売所にて学生証、教職員証等を御提示ください。 - ホームページ
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