2024年10月25日
「聖武天皇が即位したとき。
−聖武天皇即位1300年記念−」
奈良文化財研究所 企画調整部 展示公開活用研究室長 神野恵
令和6(2024)年2月、平城京の発掘調査で奈良時代の大嘗祭に関連する木簡が出土しました。神亀元 (724)年の年紀をもつことから、この年に即位した聖武天皇の大嘗祭に関連するとみられます。今年は聖武天皇の即位から、ちょうど1300年。平城宮跡資料館ではこれらの木簡を中心に、平城宮跡の遺構と遺物から、聖武天皇が生きた時代を考える特別展を開催します。

聖武天皇の大嘗祭関連の木簡①
展示期間:2024年10月22日~11月17日
■聖武天皇の即位と大嘗祭
神亀元(724)年、24歳になった首皇子は聖武天皇として即位しました。首皇子は天武・持統天皇の孫であった文武天皇の第一皇子で、外祖父は藤原不比等、藤原家の血筋を引く初めての天皇です。また同年10月に大嘗祭がおこなわれました。大嘗祭とは、天皇即位後に初めて迎える新嘗祭(新しく収穫された穀物を神々に供え、神々と天皇が共食をすることで一体になり、五穀豊穣や国家安寧を祈願する)のことを言い、天皇と王権にとって最も重要な祭祀でした。

聖武天皇の大嘗祭関連の木簡②
展示期間:2024年10月22日~11月17日
今回の特別展で展示する木簡は、聖武天皇の大嘗祭に用いる物品とともに保管されていたものと考えられます。これらの木簡に記された内容は、今まで知られていなかった大嘗祭の実態を物語るものです。また、大嘗祭の臨時の祭場として大嘗宮が造られました。平城宮東区朝堂院の発掘調査では、聖武天皇の大嘗宮が確認されています。

木簡と一緒に出土した土器
■聖武天皇の生きた時代
聖武朝は爛熟した天平文化が花開いた時代。その中心舞台である平城京は、まさに聖武天皇の「みやこ」といえるでしょう。平城宮では、首皇子が皇太子として即位する和銅7(714)年頃に、東院地区が宮殿として本格的に整備されたことがわかっています。そして、聖武天皇が即位すると、内裏に甍棟(檜皮葺き屋根の最上部に瓦を葺く形式)が採用されるなど、より荘厳な建物へと改作されました。さらに第一次大極殿院には西楼、東楼が増築されるなど、より唐風の姿へと改変されました。今回の展示では、聖武天皇とともに成長する平城宮を発掘調査の成果から追跡します。

聖武天皇の内裏に使われた瓦

平城宮第一次大極殿院の模型(復原事業情報館蔵)
聖武天皇の治世は、必ずしも平穏な時代ではありませんでした。大地震、疫病流行、政変…。度重なる災異を乗り越えた聖武天皇の治世は、現代の私たちにも多くのことを語りかけてきます。聖武天皇が残した遺跡、遺物を通して、私たちは何を学び、何を感じるのか?そして、どのようにこの遺産を後世に伝えていくのか―皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
奈良文化財研究所 平城宮跡資料館
(住所)〒630-8577
奈良県奈良市佐紀町
秋期特別展「聖武天皇が即位したとき。―聖武天皇即位1300年記念―」
【会期】 令和6年(2024)10月22日(火)~12月8日(日)
- 問合せ
- 0742-30-6753(奈良文化財研究所総務課)平日9:00~17:00
- 交通
- 近鉄奈良線大和西大寺駅北口より東へ徒歩10分
- 開館時間
- 9:00~16:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日 (月曜日が祝日の場合は翌平日)、 年末年始 - 観覧料
- 無料
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