2025年4月25日
展覧会 百花ひらく-花々をめぐる美-
皇居三の丸尚蔵館 学芸部 戸田浩之
皇居東御苑内にある皇居三の丸尚蔵館では、5月6日(火・祝)まで展覧会「百花ひらく-花々をめぐる美-」を開催しています。
四季おりおりに咲く花。その姿や色などに人は心和ませ、美を見出してきました。なかでも四季のはっきりした日本では、季節を彩る花々は絵画や工芸、書などの題材とされてきました。この展覧会では、館の収蔵品の中から花を題材とした、11世紀から現代までの作品を展示しています。
最初にご紹介するのは、明治時代に活躍した七宝作家の並河靖之(1845~1927)の「七宝四季花鳥図花瓶」です。漆黒の背景に季節の花々が細やかに表現されています。

七宝四季花鳥図花瓶
並河靖之
明治32年(1899)
皇居三の丸尚蔵館収蔵
展示期間:3月11日~5月6日
ぱっと見ると絵のようですが、実は銅で作られた器の表面に、薄いテープ状の金属で模様の輪郭をつくり、そのなかに色の異なるガラスの粉を入れて焼き上げるという、驚くような繊細な技法で作られています。明治天皇の依頼を受けて製作され、1900年にフランスで開催されたパリ万国博覧会に出品されて、日本美術の水準の高さを世界にアピールしました。

七宝四季花鳥図花瓶(部分)
こちらは色とりどりの罌粟の花を描いた美しい作品です(4/8~5/6展示)。絵の中には花の香りに誘われたモンシロチョウも飛び交っています。


罌粟
土田麦僊
昭和4年(1929)
皇居三の丸尚蔵館収蔵
展示期間:4月8日~5月6日
作者は大正から昭和時代に活躍した日本画家の土田麦僊(1887~1936)です。昭和4年(1929)の展覧会に出品され、その後皇室によって購入されました。この作品のように皇室が作品を購入することで、作家の作品制作に対する意欲や国民の美術への興味や関心が高まり、結果、日本の文化や芸術の発展に大きく貢献しました。

罌粟(部分)

ボンボニエール
現代
皇居三の丸尚蔵館収蔵
展示期間:3月11日~5月6日
これらの作品のほかにも、江戸時代の画家・伊藤若冲(1716~1800)の傑作「動植綵絵」(国宝)のうち、ボタンやバラなど春の花を描いた掛軸や、皇室でお祝いなどの際に記念の品として配られる、愛らしい小型の菓子器・ボンボニエールのなかから、花をモチーフとした作品なども展示します。いろいろな花が咲く春の季節、皇居三の丸尚蔵館で花々の美とかたちをお楽しみください。
皇居三の丸尚蔵館
(住所)〒100-0001
東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
- 問合せ
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- 【大手門からの入門】
- 地下鉄各線の大手町駅(C13a出口)から徒歩約5分
- JR東京駅(丸の内北口)から徒歩約15分
- 【平川門からの入門】
- 地下鉄東西線竹橋駅(1a出口)から徒歩約10分
- 【北桔橋門からの入門】
- 地下鉄東西線竹橋駅(1a出口)から徒歩約15分
- ※入門にあたり手荷物検査が行われます。ご来館の際にはお時間に余裕をもってお越しください。
展覧会「百花ひらくー花々をめぐる美―」
- 会期
- 3月11日(火)~5月6日(火・休)
- 開館時間
- 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
毎週金・土曜日は午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)
※4月25日(金)を除く - 休館日
- 月曜日 ※5月5日(月・祝)は開館
- 観覧料
- 一般1,000円 、大学生500円
※高校生以下及び満18歳未満、満70歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわ かるもの(生徒手帳、運転免許証、マイナンバーカードなど)をご提示ください。 ※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者各1名は無料。
※当館は、鑑賞環境保持等のため予約優先制としております。会場内に空きがある時間帯は、当日館内でも入館チケットをご購入いただけますが、完売時や混雑時はご予約のお客様以外ご入館いただけない場合がございますので、予めご了承ください。 - ホームページ