2025年8月27日
開館50周年記念
飛鳥資料館 第16回写真コンテスト
「飛鳥のたてもの」作品展
奈良文化財研究所飛鳥資料館 アソシエイトフェロー 濵村美緒

第16回写真コンテスト「飛鳥のたてもの」チラシ
平成23年(2011)に「奥飛鳥の文化的景観」が国の重要文化的景観に選定されたことをきっかけにスタートした毎年恒例の飛鳥資料館の写真コンテスト。16回目を迎えた今回は、当館の開館50周年を記念して、「飛鳥のたてもの」というテーマで作品を募集しました。
日本の原風景とも称される飛鳥の風景の中には、悠久の歴史とともに人々の暮らしを支えてきた建物が垣間見えます。例えば、古代の建物の手がかりをうかがわせる遺跡、いにしえの歴史を受け継ぐ神社・仏閣、地域の人々の暮らしやなりわいの場となってきたどこか懐かしい町並みなど。かけがえのないこれらの風景は、規制も含めた様々な法制度や地域の人々の粘り強い取り組みによって現在まで受け継がれてきました。
そして、開館から50年ものあいだ当館の活動を支えてきた飛鳥資料館の建物もまた、建築家の谷口吉郎による、モダンでありながらも周囲の自然や飛鳥の風景に馴染む外観デザインが取り入れられています。

登録有形文化財(建造物)への登録が決定した飛鳥資料館の建物
第16回写真コンテストでは、本コンテストの特徴である「飛鳥地域で撮影した写真」という応募条件のもと、全国から計81点の作品が集まりました。現在開催中の作品展では、決して広いとはいえない撮影エリアの中で、撮影者たちが趣向を凝らしてカメラのシャッターを切った多彩な作品の数々を展示しています。
また、厳正なる審査を経て選ばれた12点の作品には、律令制の位階になぞらえた賞や、飛鳥資料館開館50周年を記念した特別賞が贈られたほか、8月20日まで実施していた来館者投票により、来館者投票1位の作品も選ばれました。ここでは、本コンテストで正一位、正二位を受賞した作品をご紹介します。

正一位 受賞作品「時の足跡」(撮影:東 吉輝)
明日香村大字飛鳥で撮影された正一位の作品は、近世以来の伝統的な町並みに降り積もる雪、そして作品の中心に向かって延びていく自動車の轍が、いにしえの歴史と現代をつなぐ「時間」を感じさせる印象的な作品です。月明りに照らされ、静けさが漂う町並みは、観光客でにぎわう昼間の風景とはまた違った様子をみせています。

正二位 受賞作品「古の都城へタイムスリップ」(撮影:本田 和博)

正二位 受賞作品「橘集落の雪景色」(撮影:白水 泉)
正二位には、古代の建物を再現した柱が並ぶ藤原宮跡と、飛鳥では珍しく雪化粧をまとった明日香村大字橘の集落を写した2作品が選ばれました。どちらの作品も、飛鳥ならではの風景でありながら、撮影時の構図や視点の工夫により、普段目にしている風景とはひと味もふた味も異なる一枚に仕上げられています。
今回ご紹介した作品以外にも、本コンテストでは、四季折々の飛鳥の美しい風景と建物が織りなす魅力的な作品が数多く集まりました。「飛鳥のたてもの」をテーマにした多彩な作品をとおして、飛鳥地域の魅力を感じていただければ幸いです。
飛鳥資料館開館50周年記念 第16回写真コンテスト「飛鳥のたてもの」
7月18日(金)~9月23日(火・祝)
https://www.nabunken.go.jp/asuka/contest/16.html
奈良文化財研究所 飛鳥資料館
〒634-0102
奈良県高市郡明日香村奥山601
- ホームページ
- お問合せ先
- 0744-54-3561
- 交通
- 近鉄橿原神宮前駅・飛鳥駅から 明日香周遊バス(赤かめ)「明日香奥山・飛鳥資料館西」下車
又は近鉄・JR桜井駅から 奈良交通(明日香奥山・飛鳥資料館西行)バスで「飛鳥資料館」下車 - 開館日・時間
- 火曜日~日曜日9:00~16:30(入館は16:00まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(祝日と重なれば翌平日)、年末年始(R7/12/22~R8/1/3)
- 観覧料
- 一般 350円/大学生 200円/70歳以上・高校生及び18歳未満 無料
各種優待は、受付でご確認ください。
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