2026年3月31日
桜だけじゃない! 吉野・大峯の深遠なる神仏の世界
奈良国立博物館学芸部文化財課美術工芸室長 山口隆介
この春、奈良国立博物館では特別展「神仏の山 吉野・大峯 ―蔵王権現に捧げた祈りと美―」を開催します。吉野といえば桜の名所ですが、古来より吉野から熊野へといたる大峯の山々は山岳修行の地とされ、また吉野から大峯の山上ヶ岳は金峯山と呼ばれて、弥勒が現れる未来のための黄金を秘める霊山として信仰を集めました。近年、藤原道長がみずから書写して金峯山に埋納した紺紙金字経の断簡が金峯山寺で大量に発見され、大きな注目を集めました。本展はこの国宝・紺紙金字経を修理後初公開するとともに、山岳修行の祖・役行者像や蔵王権現像、曼荼羅や鏡像、人々が祈りを捧げた神像や仏像など、自然と神仏への信仰が一体となって生み出された宝物を一堂に集め、この地域ならではの信仰世界をご紹介する企画です。
国宝 紺紙金字阿弥陀経(金峯山経塚出土)(部分) 藤原道長筆 平安時代 寛弘4年(1007)
奈良 金峯山寺 【展示期間:5月12日~24日】
金峯山における蔵王権現信仰の中心には山上・山下ふたつの蔵王堂、すなわち標高1719メートルの山上ヶ岳山頂に建つ山上蔵王堂(大峯山寺)と、下山蔵王堂(金峯山寺)があり、大峯山寺の本堂内陣には独尊の蔵王権現像が、金峯山寺蔵王堂には三尊像がそれぞれ秘仏本尊としてまつられています。大峯山寺の秘仏本尊は本堂安置の5軀の蔵王権現像とともにはるばる山を下り、寺外初公開されます(1軀をのぞく)。秘仏本尊の生気に富んだ姿は数ある蔵王権現像のなかでも随一のもので、制作事情は不詳ながら特別な由緒をそなえた像であることを想像させます。秘仏本尊は信仰上の理由から写真が掲載できませんので、ぜひ展覧会場でその姿をご覧ください。
大峯山寺蔵王権現像 5軀のうちその1とその3 平安時代(12世紀) 奈良 大峯山寺
金峯山は神々が住まう聖なる場所でもあります。古来より水分神・金峯神・勝手神がまつられ、三神は『延喜式』神名帳の吉野郡十座のうち「吉野水分神社」「金峯神社」「吉野山口神社(勝手神社)」にそれぞれ比定されます。本展で初公開される勝手神社安置の勝手明神坐像は武装形の神像で、獅子・狛犬を従えてのお出ましです。武神にふさわしく精悍な顔だちで、勇壮な姿に神威が感じられる傑作ですが、こちらも展覧会場でその尊容を拝していただければと思います。このほか吉野・熊野・天川の信仰世界を描いた曼荼羅が大集合する空間も必見です。
獅子・狛犬 鎌倉時代(13世紀) 奈良 勝手神社
さらに本展では、展示室内に幅約18メートル、高さ約4.5メートルの大型スクリーンを設け、TOPPANが製作したVR映像を使って、金峯山寺蔵王堂の秘仏本尊蔵王権現像を実物に近いサイズで投影します。当館初の試みとなる迫力の映像空間で、像高7メートル(中尊)を超える蔵王権現の巨像の圧倒的な実在感とその魅力をご堪能ください。
VR 映像『金峯山寺』より 製作協力:総本山金峯山寺 製作著作:TOPPAN
特別展「神仏の山 吉野・大峯―蔵王権現に捧げた祈りと美―」
令和8年(2026)4月10日(金)~6月7日(日)
特設サイトhttps://tsumugu.yomiuri.co.jp/yoshino_omine2026/![]()
吉野・大峯展公式YouTubehttps://www.youtube.com/@yoshino_omine2026![]()
奈良国立博物館
- 住所
- 〒630-8213 奈良市登大路町50番地
- ホームページ
- お問合せ先
- 050-5542-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- 鉄奈良駅下車徒歩約15分、またはJR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス(外回り)「氷室神社・国立博物館」下車すぐ
- 開館日・時間
- 令和8年(2026)4月10日(金)~6月7日(日)
前期展示:4月10日(金)~5月10日(日)
後期展示:5月12日(火)~6月7日(日)
※会期中、一部の作品は展示替えを行います。
※展示作品、会期等については、今後の諸事情により変更する場合があります。
午前9時30分~午後5時
※入館は閉館の30分前まで - 休館日
- 毎週月曜日
※ただし4月27日(月)、5月4日(月・祝)は開館 - 観覧料
-
一般 \2,000(当日), \1,800(前売・団体)
高大生 \1,500(当日), \ 1,300(前売・団体)
· 中学生以下無料。
· 団体は20名以上。
· 高大生の方は、入館の際に学生証または年齢の確認できるものをご提示ください。
· 無料観覧対象の方は、入館の際に各種証明書をご提示ください。
· 障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)、奈良博メンバーシップカード会員の方(1回目及び2回目の観覧)、賛助会会員(奈良博、東博[旧シルバー会員・ブロンズ会員を除く]、九博)、清風会会員(京博)、特別支援者は無料。
· 本展の観覧券で、名品展(仏像館・青銅器館)もご覧になれます。
· 奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員(学生)の方は400円、同(教職員)の方は1,900円で当日券をお求めいただけます。観覧券売場にて学生証または職員証をご提示ください。
