2014年6月20日
この連載では,日本各地の地域の日本語教室で日本語を学び,地域で活躍する外国人の視点から地域の魅力,日本語や日本文化の魅力,日本語の学習などについて語ってもらいます。様々な背景を持つ外国人の方々がどのような思いで日本語を学び,日本の社会で暮らしているか,是非知ってください。
<埼玉県さいたま市>
地球っ子クラブ2000・多文化子育ての会Coconico
(平成24,25年度文化庁「生活者としての外国人」のための日本語教育事業委託団体)
田代 ドルマーさん (モンゴル出身)
モンゴルで日本語を勉強し,観光ガイドの仕事をしていました。2007年モンゴルで日本人の男性と知り合い,結婚して日本で暮らすことになりました。
現在,小学校1年生の娘と3人家族ですが,7月にもう一人家族が増え,4人家族になる予定です。

○私の地域での活動① ≪チャレンジスクール≫

小学校で教壇に立つドルマーさん
日本の小学校に行って,モンゴルのことを紹介しています。小学生はとても反応が良く,モンゴルの衣装やシャガイという骨のおもちゃを興味深く見てくれます。質問も多くとても積極的です。
モンゴルの昔話「スーホの白い馬」が日本の小学校の授業に取り入れられていることに,とても親近感を覚えました。私はいつも,話の中に出てくる楽器「馬頭琴(モリンホール)」を持って行きます。本物の楽器を見たり,音を聴いたり,主人公のセリフをモンゴル語で聞くことで,子供たちは話をよりリアルに感じているようでした。
私自身も子供たちの感想文を見ると,元気をもらい前向きな気持ちになります。

これが馬頭琴!弾いてみる子供たち

子供たちと『スーホの白い馬』を
読みながら交流
○私の地域での活動② ≪Coconicoおはなし会≫

子供たちとモンゴル語の手遊びをするドルマーさん
1年に数回,地域の図書館で多言語による「おはなし会」をしています。日本でよく知られている絵本「はらぺこあおむし」や「わにさんどきっ はいしゃさんどきっ」をモンゴル語で読んだり,「ぼくのうちはゲル」でモンゴルの暮らしを紹介したりしています。
聞いている人たちは,もちろんモンゴル語が分からないのですが,子供たちはあいさつや歌などをすぐに真似してできるようになります。
私の娘は,自分だけモンゴル語が分かるので得意気です。自分の母親がみんなの前で話しているのが誇らしいようで,それを見ると私も嬉しくなります。
○私の地域での活動③ ≪就学前講座≫
地球っ子クラブ2000企画「外国から来たお父さんお母さん,学校のことを話しましょう!」

グループで学校のことについて話し合うママたち。
手前のテーブルにドルマーさん
就学前講座は,自分の国の学校のことを話しながら,日本の学校のシステムを分かるようにする講座です。私は,先輩ママという立場で娘と一緒に参加しました。学校のことは外国人には分かりにくいことが多く,不安に思っているママたちの力になれればと思っています。
○私の地域での活動④ ≪国際フェア≫

国際フェアでモンゴル家庭料理をふるまうドルマーさん
(左から二人目)
国際交流協会主催の国際フェアでは,仲間と世界の軽食のお店を出し,多くの人に食べていただきました。私の作ったモンゴルの家庭料理を食べて,「おいしかった」と何度も買いに来てくれる人もいました。とても楽しく,笑顔があふれる瞬間です。
○私にとっての地域の日本語教室
娘が生まれて,日本で子育てをするには知り合いも少なく,大変なことも多かったのですが,「多文化子育ての会Coconico」に出会えたことにより,たくさんの仲間ができました。子供同士も友達になり,親子で楽しんでいます。どこの国の親でも,子育ての不安と喜びを同じように感じています。そんな話をすることで,私自身,気持ちがとても楽になりました。
同じ地域に住んでいるお母さんと子供たちが集まって,絵本の読み聞かせや手遊び歌をしたり,母国の料理を作ったり,子育てや家族のこと,病院や学校の書類が分からないことなど,交流を通してお互いに助け合っています。

地球っ子クラブ2000・Coconicoの仲間と
Coconicoでは,先輩ママとして子育てで感じたことや経験を伝えていますが,役に立てることを嬉しく感じています。日本で子育てをしている外国人の母親として,この活動は「自分の言葉=母国語」で子供と接することが本当に大切なことだと感じさせてくれました。母国の言葉で話すと,気持ちが子供に直接伝わるし,語りかけも自然に多くなります。子供も日本語ともう一つの言葉に接することができます。我が家では日本語とモンゴル語を両方使うようにしています。娘には両方の文化を大事にして欲しいと考えています。


いつも笑顔のお母さん仲間と地球っ子クラブ2000・Coconicoの皆さんと
○メッセージ
自分の国の言葉や文化,食べ物などを紹介し,自分が住んでいる地域の人たちと交流することで,地域社会との繋がりを強く感じます。また,モンゴルの文化を誇りに思うようにもなりました。
皆さんも外国のことに興味を持ち,日本とは違う文化や習慣を理解しようとすれば,多くの発見があり,より面白い世界を感じることでしょう。子供たちをはじめ,地域の人たちにいろいろな国の文化に触れて欲しいと思い,私は文化紹介をしています。これからも多くの人たちにモンゴルの紹介をしていきたいと思います。
<地球っ子クラブ2000>
<多文化子育ての会 Coconico>
○団体ポリシー:日本でも自分らしく!みんな輝くステキなお母さん!
○団体URL:http://chikyukkoclub2000.com/
○平成26年度文化庁委託「生活者としての外国人」のための日本語教育事業

さいたま市見沼たんぼの自然を守るボランティア体験