2016年6月2日
この連載では,日本各地の地域の日本語教室で日本語を学び,地域で活躍する外国人の視点から地域の魅力,日本語や日本文化の魅力,日本語の学習などについて語ってもらいます。様々な背景を持つ外国人の方々がどのような思いで日本語を学び,日本の社会で暮らしているか,是非知ってください。

外国人も活躍できる社会に向けて
私たちができること
<愛知県岡崎市>
岸本・サンドラ・アリシアさん(アルゼンチン出身)
国際交流NGO Vivaおかざき!! 理事
1.Mucho gusto!(はじめまして)
アルゼンチン出身の岸本・サンドラ・アリシアです。祖父が沖縄出身の日系三世で,1990年に日本に来ました。愛知県岡崎市に暮らして今年で27年目になります。岡崎市は,愛知県のほぼ中央に位置する,徳川家康が出身の文化と伝統の薫る街です。私は現在,岡崎市役所,りぶら国際交流センターの言語スタッフとして働きながら,Vivaおかざき!!の理事として活動しています。

毎年4月には家康行列が行われ,
忍者隊として参加しています

岡崎の三大祭りの神明宮大祭
2.ことばと支援の必要性
来日当初は,全く日本語が分からず,スーパーで油を買うにも油に見えるものを全部買って試したり,電車も,行き先も分からず,来た電車に乗ったりしていました。日本語の必要性を感じたことと,安室奈美恵という歌手のファンになったことをきっかけに日本語の勉強を始めました。最初は地域のボランティア教室に行き,もっと本気で勉強しようと日本語学校に週1回通いました。仕事の休憩時間も,家に帰ってからも,ずっと日本語の勉強をして,来日後10年以上経ってから日本語能力試験1級(当時)に合格しました。
日本語ができるようになっても困ったのは,災害の時です。2008年8月,岡崎市では岡崎豪雨があり,川の氾濫や浸水など甚大な被害がありました。そのとき,激しい雨の中で避難勧告など,状況が分からず,自宅のすぐそばが2m近く浸水していても家にいることしかできませんでした。日本社会で安心して暮らしていくためには,日本語だけでなく情報や地域の日本人とのつながりも大切さだと痛感しました。
3.外国人も活躍できる社会にしたい
外国人に必要な情報を届け,日本人と顔の見える関係を作って社会で活躍するサポートがしたいと思い,2010年にVivaおかざき!!を日本人二人と立ち上げました。最初は防災や教育のセミナーや交流会が中心でしたが,2015年からは日本語教育にも力を入れています。「生活に役立つ日本語教室」では,実際に街に出て,生活で使える知識と日本語を学ぶスタイルにしています。また,外国人はいつも助けられる存在ではなく,助ける側・支援者にもなれるというコンセプトで,災害時・救急時に支援者になるための「支援に役立つ日本語教室」なども開催しています。

チラシを使って買物の日本語を勉強しました

バスの乗り方の日本語を学びます

消防署の救命講習でAEDの練習

消火器を使ってみました
「ことばの壁」を越えると世界が広がって,たくさんのことに挑戦できるようになります。私自身,Vivaおかざき!!で自分の経験を生かした事業を作ったり,「ズンバ」というフィットネスプログラムのインストラクターの資格を取ったりして,自分のやりたいことができています。「外国人」ではなく,誰でも「地域の一員」として地域活動や交流活動に参加できる関係作りを目指しています。アルゼンチンは移民と共に作った国で,異文化が融合した文化が成り立っています。それと同じように理解が進むとは限りませんが,日本でもできると信じて活動しています。

Vivaおかざき!!5周年パーティー

熊本地震チャリティズンバイベント
国際交流NGO Vivaおかざき!!
- 概要
- 「日本人」や「外国人」という区別なく,同じ地域に暮らす一員として,お互いを理解し助け合って暮らせる誰もが「住んでよかった。Viva(=バンザイ)」と思える社会を目指します。
・外国人住民向けセミナー(防災,教育,等)
・生活に役立つ日本語教室
・日本人市民との交流事業
・多文化コーディネーター育成(災害時支援に役立つ日本語教室)
【平成27~28年度「生活者としての外国人」のための日本語教育事業採択団体】 - ホームページ
- http://viva-okazaki.com/