2016年8月9日
あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本の美術
京都国立近代美術館 主任研究員 平井章一
「もはや戦後ではない」が流行語となった1956(昭和31)年。欧米の最新の美術動向を示す一群の作品が日本に紹介されます。それらは,戦後欧米で同時多発的に現れた前衛的な作品を「アンフォルメル」(未定形)という独自の概念で論じたフランス人美術評論家,ミシェル・タピエのセレクトによるものでした。

岡本太郎 《燃える人》
1955年 東京国立近代美術館蔵
作者の行為(アクション)の痕跡や鮮烈な色彩,素材そのものの生々しい物質感を強調した作品の数々は,戦中から戦後の占領下にかけて長らく外の世界との関係を閉ざされてきた日本の美術家たちに大きな衝撃を与えました。そして,以後数年にわたり,洋画や彫刻のみならず,日本画や陶芸,生け花といった日本の伝統的な表現ジャンルで,アンフォルメル風の“熱い”表現が爆発的に流行します。その勢いのすさまじさは,当時のメディア上での「アンフォルメル旋風」,「アンフォルメル・ショック」,「アンフォルメル台風」といった形容からも,うかがい知ることができるでしょう。

白髪一雄 《天暗星青面獣》
1960年 兵庫県立美術館蔵(山村コレクション)
今回の展覧会は,ジャンルの広範さと展開の多様さにおいて日本の美術史上例を見ないこの特筆すべき現象を,国内にある欧米のアンフォルメルの作品を含む約100点(洋画,日本画,水彩画,写真,彫刻,オブジェ,書,いけばな,陶芸,漆芸,染織等)で紹介するものです。

河井寬次郎《打薬扁壺》
1962年 京都国立近代美術館蔵
ここでは,たんにアンフォルメルの様式的な影響や類似点,共通点を見るだけではなく,アンフォルメル上陸以前の作品も含め,あの時代ジャンルを超え世代を超えかくも多くの美術家たちが“熱い”表現を意識したのはなぜだったのか,それにもかかわらず今日アンフォルメルが歴史から忘れ去られているのはなぜなのか,日本の戦後の美術においてアンフォルメルが果たした役割とは何だったのか,を考えたいと思います。
それはまた,西欧主導の美術運動の国際化=グローバリズムの大きな波に当時の日本人がいかに対したかという,今日の私たちにも通じる問題を考察する場となるにちがいありません。
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熱かった!
アンフォルメルと
日本の美術
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