2017年11月2日
岡本神草の時代
京都国立近代美術館主任研究員 小倉実子
この度,京都国立近代美術館では,近代の京都画壇において特異な女性像を描き続けた岡本神草の全容を紹介する展覧会を開催いたします。

岡本神草 《口紅》
大正7(1918)年 京都市立芸術大学芸術資料館蔵
明治27(1894)年神戸市に生まれた神草(本名・敏郎)は,大正4(1915)年に京都市立美術工芸学校絵画科を卒業すると,京都市立絵画専門学校に進学します。最初は当時流行していた,南画と後期印象派の画風を融合させたような自由で明るい新南画風の作品を描いていましたが,大正5年頃から生涯のモティーフとなる舞妓を竹久夢二風に描くようになり,徐々に《口紅》(大正7年)のような,浮世絵の影響を受けた官能的な画風へと変わっていき,新興美人画作家として注目されます。

岡本神草 《拳を打てる三人の舞妓の習作》
大正9(1920)年 京都国立近代美術館蔵
大正9年の第3回国画創作協会展には,やはり舞妓をモティーフとし,心理的な隈というべき陰影を施すことにより,神秘的な存在感を出した《拳を打てる三人の舞妓の習作》を出品して,その将来を期待されました。その後,女性を描いて近代京都画壇で活躍していた菊池契月に師事し,昭和に入ってからは,かつてのような官能性を前面に押し出すのではなく,そこはかとなく漂わせるような作風に移ります。しかし,十分な展開を見せる前に,惜しくも昭和8(1933)年,38歳の若さで亡くなりました。

菊池契月 《少女》
大正9(1920)年 京都国立近代美術館蔵
本展は,《口紅》,《拳を打てる三人の舞妓の習作》等,これまでに知られた作品だけでなく,寡作で知られた上に,早世したために数少ない本画を可能な限り集め,素描,下図,資料類100点ほどを加えてその画業を紹介する,岡本神草の初の大規模回顧展です。また,木村斯光,板倉星光,堀井香坡,甲斐庄楠音など一緒に競い合った同時代の作家や,師・菊池契月の作品も展示いたします。神草芸術とともに,画家の活動した時代の雰囲気も御堪能いただければ幸いです。

甲斐庄楠音 《横櫛》
大正5(1916)年頃 京都国立近代美術館蔵
京都国立近代美術館
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(入館はいずれも閉館30分前まで) - 休館日
- 毎週月曜日
- 観覧料
-
当日 一般1,000円, 大学生500円
団体(20名以上) 一般800円, 大学生400円※本料金でコレクション展も御覧いただけます
※高校生及び18歳未満,心身に障がいのある方と付添い者1名は無料です(要証明)
※夜間開館時(金曜/土曜 午後5時以降)は夜間割引を実施します。
一般1,000円→800円, 大学生500円→400円(他の割引との併用はできません) - ホームページ
- 岡本神草の時代 ホームページ
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