2020年2月10日
※新型コロナウイルス感染症予防対策により臨時休館となります。
詳細はHPを御覧ください。
日本・ポーランド国交樹立100周年記念
ポーランドの映画ポスター
国立映画アーカイブ主任研究員・岡田秀則
「これが映画のポスターなんですか…?」と目を白黒させていた方,「この映画がどうしてこんなビジュアルに?」と作品の前で爆笑なさった方,私たちはそうした来館者の皆さまを忘れてはいません。当館でかつて開催された「チェコの映画ポスター」展(2013年)や「キューバの映画ポスター」展(2015年),あるいは「戦後ドイツの映画ポスター」(2016年)にいらした方なら,映画ポスターというささやかな媒体が持つ意外なポテンシャルの大きさを実感されたことでしょう。それらの国々では,ある時代,映画ポスターが単なる“宣伝”である以上に,“表現”として成立していました。
『めまい』
(1958年/アメリカ/アルフレッド・ヒッチコック監督)
ポスター:ロマン・チェシレヴィチ(1963年)
武蔵野美術大学 美術館・図書館所蔵
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2019 G1994
その意味で,現在開催中の「ポーランドの映画ポスター」は,まさに“真打ち”の名にふさわしい企画です。チェコやキューバと同じく,社会主義期のポーランドでは,いかに映画を効率的に売り出すかという商業的な要請が薄く,一方で堅苦しい社会主義リアリズムの衰退とともに新世代のデザイナーたちが「ポスターのポーランド派」を形成し,斬新な作品を続々と生み出しました。映画ポスターの分野でもロマン・チェシレヴィチ,ヤン・ムウォドジェニェツ,イェジ・フリサク,アンジェイ・クライェフスキなどの特徴的なデザイナーが登場し,映画から受けたインスピレーションをそれぞれ自在な表現へと実らせました。そのことは,芸術表現が厳しい検閲にさらされた当時のポーランドにあっても,絵画や文学や映画などに比べればグラフィック・デザインは表現上の制約をかわしやすく,いわば検閲のエアポケットであり得たことを想像させます。
『姿三四郎』
(1965年/日本/内川清一郎監督)
ポスター:イェジ・フリサク(1971年)
国立映画アーカイブ所蔵
『醜い奴,汚い奴,悪い奴』
(1976年/イタリア/エットレ・スコーラ監督)
ポスター:イェジ・フリサク(1978年)
神奈川県立近代美術館所蔵(撮影:セキフォトス 田中俊司)
この展覧会では,国立映画アーカイブと京都国立近代美術館の共催により,1950年代後半から1990年代前半までに制作された,国立映画アーカイブ所蔵品を中心とする96点の映画ポスターを紹介し,本国ポーランド映画のポスターはもちろん,ヨーロッパ各国の作品やアメリカ映画,さらには日本映画のポスターにも着目しています。3月17日から5月10日まで,京都国立近代美術館(コレクション・ギャラリー)にも巡回しますので,関西の映画ファンやデザイン愛好家の方々も御期待ください。
国立映画アーカイブ
(住所)〒104-0031 東京都中央区京橋 3-7-6
- 問合せ
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 交通
-
東京メトロ銀座線京橋駅出口1から昭和通り方向へ徒歩1分
都営地下鉄浅草線宝町駅出口A4から中央通り方向へ徒歩1分
東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅出口7より徒歩5分
JR東京駅下車,八重洲南口より徒歩10分
- 開催期間
- 2019年12月13日(金)~2020年3月8日(日)
- 休館日
- 毎週月曜日
- 観覧料
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一般250円/大学生130円/シニア・高校生以下及び18歳未満,障害者(付添者は原則1名まで),国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料。
※料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含みます。詳細についてはホームページを御覧ください。 - ホームページ
- https://www.nfaj.go.jp/