2020年12月7日
国立美術館のコレクションでみる眠りのかたち
東京国立近代美術館 研究員 古舘遼
独立行政法人国立美術館は,東京国立近代美術館,京都国立近代美術館,国立西洋美術館,国立国際美術館,国立新美術館,国立映画アーカイブから構成される組織です。それぞれに個性的なコレクションの収集管理,調査研究等を行い,その成果に基づく展覧会を開催してきました。このたび,国立美術館の共同企画として,「眠り展:アートと生きること ゴヤ,ルーベンスから塩田千春まで」を開催いたします。
これまで国立美術館では,各館が協力し合い,その多様なコレクションを紹介する展覧会として,美術における影や陰をテーマとした「陰影礼讃」(2010年),一般の観客の目には必ずしも入らない,美術館のシステムや美術館の裏側に着目した「NO MUSEUM, NO LIFE? これからの美術館事典」(2015年)を開催してきました。これらの展覧会企画は,これまでになかった切り口によって各館のコレクションの粋を紹介することを目的としています。第3弾となる本展では,美術における「眠り」をテーマに掲げます。
ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子供》
1612-13年頃 国立西洋美術館
人々にとって「眠り」は,生きていく上で欠かせないものです。それだけでなく「眠り」は,「もうひとつの現実」として,実に多くの芸術家たちを創造に駆り立ててきました。夢とうつつの間を行き来する「眠り」の世界は時として,現実を超えた豊かな想像力を私たちにもたらします。
本展は,国立美術館の総計4万4,000点を超す豊かなコレクションから精選された古今東西のアーティスト33人による約120点の作品で構成されます。その中には,絵画,版画,素描,写真,立体,映像など幅広いジャンルの作品が含まれます。それらを通して,美術の中で「眠り」がいかに表現されてきたか,それが私たちに投げかけるものは何かを探ります。この試みが,めまぐるしく変転する社会の状況を前に私たちがいかに生きることができるか,その答えを探るためのヒントとなることを願ってやみません。
阿部合成《百姓の昼寝》
1938年 東京国立近代美術館
東京国立近代美術館
(住所)〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
- 問合せ
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 交通
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東京メトロ東西線 竹橋駅1b出口より徒歩3分
- 開館時間
- 10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
毎週金・土曜日は20:00閉館 - 休館日
- 毎週月曜日(1月11日は開館),12月28日~1月1日,1月12日
- 観覧料
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一般1,200円(1,000円), 大学生600円(500円)
※カッコ内は20名以上の団体料金。
※高校生以下及び18歳未満,障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※国立美術館キャンパスメンバーズ加盟校の学生,教職員は無料。 - ホームページ
- https://www.momat.go.jp