2021年2月25日
ミケル・バルセロ展
国立国際美術館 学芸課長代理 安來正博
スペイン現代美術界の巨匠ミケル・バルセロ(1957-)は,地中海の光と影,マジョルカ島の海と大地が育んだ,自然から限りなく豊かな着想を得る稀有な才能の持ち主です。国立国際美術館では,この度,バルセロの日本初となる大規模個展を開催します。(会期:2021年3月20日(土・祝)~5月30日(日))

ミケル・バルセロ《とどめの一突き》1990年 作家蔵 Photo by André Morin
ミケル・バルセロは,スペイン国内外で多彩かつ精力的に制作活動を展開してきた,世界の現代アートシーンを牽引する美術家の一人です。1982年の「ドクメンタ7」で国際的なデビューを果たして以来,華々しい成果を見せ続けてきました。

ミケル・バルセロ《下は熱い》2019年 作家蔵 Photo by Agustí Torres
彼の制作は,その豊かな多様性を特徴としています。美術におけるジャンルの垣根を軽快かつ自在に飛び越え,多彩な制作手法を試し,いずれにおいても創造性に溢れた独自の作品を結実させてきました。様々なメディウムを駆使して絵画や彫刻を手掛けつつ,陶芸やパフォーマンスにおいても,彼独自の世界観を呈示しています。まさに,パブロ・ピカソやジュアン・ミロのような,20世紀美術史にその名を刻むスペインの巨匠たちに連なる作家であると言えるでしょう。生地マジョルカ島を始め,パリ,アフリカ他,世界各地にアトリエを構えながら,モチーフの面でも多彩な相貌を見せるバルセロ芸術の全容を,本展では彼の代表作約100点によって紹介します。大きなカンヴァス作品,自在な形を作り出す陶の作品,高度な技術と独創的な技法によるブリーチ(漂白)絵画,世界各地の風土を捉えた瑞々しいスケッチや水彩画などは,バルセロが開拓した芸術未踏の地と言えるでしょう。
また,荘厳なゴシック建築として名高いパルマ大聖堂(マジョルカ島)では,テラコッタによる壁画装飾を,スイス・ジュネーヴの国連本部では,人権理事会議場の天井画を手掛けるなど,壮大なプロジェクトも数々実現させており,その芸術的探求は止まるところを知りません。

ミケル・バルセロ《カピロテを被る雄山羊》2006年 作家蔵 Photo by Galerie Bruno Bischofberger
本展覧会は,日本国内で初めて彼の仕事を総合的に紹介するものです。自然界に開かれた豊かな感受性が,力強いエネルギーによる創造へと昇華していく,バルセロ芸術に迫ることのできる格好の機会となるものです。是非御観覧ください。
国立国際美術館
(住所)〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
- 問合せ
- 06-6447-4680
- 交通
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京阪電車中之島線「渡辺橋駅」(2番出口)から南西へ徒歩約5分
Osaka Metro四つ橋線「肥後橋駅」(3番出口)から西へ徒歩約10分
JR「大阪駅」,阪急電車「大阪梅田駅」から南西へ徒歩約20分
JR大阪環状線「福島駅」,東西線「新福島駅」(2番出口)から南へ徒歩約10分
阪神電車「福島駅」(3番出口)から南へ徒歩約10分
Osaka Metro御堂筋線「淀屋橋駅」,京阪電車「淀屋橋駅」(7番出口)から西へ徒歩約15分
大阪シティバス「大阪駅前」から,53号・75号系統で,「田蓑橋」下車,南西へ徒歩約3分
- 開館時間
- 10:00~17:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
- 休館日
- 月曜日(ただし2021年5月3日(月・祝)は開館)
- 観覧料
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一般1,200円(1,000円),大学生700円(600円)
※( )内は20名以上の団体料金および夜間割引料金(金・土曜日の17:00以降)
※高校生以下,18歳未満無料(要証明)
※心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
- ホームページ
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- https://www.nmao.go.jp/
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