2021年7月26日
「Viva Video! 久保田成子展」
「鷹野隆大 毎日写真1999―2021」
国立国際美術館 学芸課長 植松由佳
所蔵品管理室長 橋本梓
コレクション形成室長 中西博之
国立国際美術館では、国内外の現代美術の動向を幅広く紹介することを目的に掲げ活動してきました。今夏はニューヨークを拠点に活躍したヴィデオ・アートの先駆者の一人として知られる久保田成子と、セクシュアリティ、ジェンダーをテーマにした写真作品で知られ、近年は都市空間にも関心を寄せる写真家鷹野隆大の個展を同時開催します。用いるメディアは異なりますが、2人の作家の表現世界に触れる貴重な機会です。どうぞご堪能ください。
「ヴィデオ・アートのパイオニア、待望の個展/Viva Video! 久保田成子展」
新潟に生まれ、ニューヨークを拠点に活躍したヴィデオ・アートのパイオニア、久保田成子(1937-2015)の没後初、日本では約30年ぶりの個展を開催します。
《スケート選手》1991-92年 久保田成子ヴィデオ・アート財団蔵
(新潟県立近代美術館での展示風景、2021年)
撮影:吉原悠博© Estate of Shigeko Kubota
彫刻家を目指して上京した久保田は、前衛芸術家たちの新しい仕事に刺激を受け、また女性作家が活躍できる場を求めて、1964年にニューヨークへ渡りました。そして1970年頃に出会ったのが、当時アートの世界に新風を吹き込んでいたヴィデオによる新しい映像表現です。パートナーのナムジュン・パイクを通じてヴィデオカメラを手に入れた久保田は、1970年代半ばには映像と彫刻を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」を発表、以後ヴィデオ・アートの先駆的な存在として国際的に評価されました。
《デュシャンピアナ:階段を降りる裸体》1975–1976 /1983年 富山県美術館蔵
(新潟県立近代美術館での展示風景、2021年)
撮影:吉原悠博© Estate of Shigeko Kubota
本展では東京時代に始まり、ニューヨークで参加した前衛芸術家集団フルクサスでの仕事、ヴィデオ彫刻の代表作となった「デュシャンピアナ」シリーズ、その後のヴィデオ彫刻の展開まで、たっぷりとご覧頂きます。
「世代屈指の写真家・鷹野隆大。美術館における初の大規模個展」
性にまつわる二項対立の狭間にある曖昧なものの可視化を試みた写真集『IN MY ROOM』(2005年刊行)によって木村伊兵衛写真賞を受賞した鷹野隆大(1963—)は、ジェンダーやセクシャリティをテーマとする写真家として、一般に認知されています。他方、1998年から毎日欠かさず写真を撮ることを自分に課して、様々な実験的撮影を試み、制度化された眼差しや、写真という媒体の特性とその限界について、考察を重ねてきました。鷹野はそのブロジェクトを「毎日写真」と名付けて、実践し続けています。
《2018.03.03.D.#02bs》2018年
インクジェットプリント
初の大規模な個展となる本展は、鷹野の芸術活動の根幹を成すその「毎日写真」を主軸としながら、ジェンダー・セクシャリティ系の出世作や、日本特有の街並みの写真「カスババ」、東日本大震災が契機となり近年注力する影の作品など、約130点を展示します。世代屈指の写真家・鷹野隆大の思索の変遷を顧みて、その実像に迫ります。
《2019.12.29.P.#2(距離と時間)》(部分)2019年
ゼラチンシルバープリント
国立国際美術館
〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
- 問合せ
- 06-6447-4680
- 交通
-
京阪電車中之島線「渡辺橋駅」(2番出口)から南西へ徒歩約5分
Osaka Metro四つ橋線「肥後橋駅」(3番出口)から西へ徒歩約10分
JR「大阪駅」、阪急電車「大阪梅田駅」から南西へ徒歩約20分
JR大阪環状線「福島駅」、東西線「新福島駅」(2番出口)から南へ徒歩約10分
阪神電車「福島駅」(3番出口)から南へ徒歩約10分
Osaka Metro御堂筋線「淀屋橋駅」、京阪電車「淀屋橋駅」(7番出口)から西へ徒歩約15分
大阪シティバス「大阪駅前」から、53号・75号系統で「田蓑橋」下車、南西へ徒歩約3分 - 開館時間
- 10:00~17:00 ※本展会期中の毎週金・土曜日は21:00まで ※入場は閉館の30分前まで
- 休館日
- 月曜日(ただし2021年8月9日(月・休)、9月20日(月・祝)は開館し、8月10日(火)は休館)
- 観覧料
- 各展覧会とも
一般1,200円(1,000円),大学生700円(600円)
※( )内は20名以上の団体および割引料金
※高校生以下・18歳未満無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
※夜間開館中(金曜・土曜の17:00 – 21:00)は割引料金でご観覧いただけます。
※「Viva Video! 久保田成子展」と「鷹野隆大 毎日写真1999-2021」(同時開催)の観覧券を当館窓口で同時購入の場合に限り、両展とも各割引料金でご観覧いただけます(一般のみ)。 - ホームページ
- https://www.nmao.go.jp/