2021年9月13日
発見された日本の風景 美しかりし明治への旅
京都国立近代美術館学芸課主任研究員 梶岡秀一
京都国立近代美術館では展覧会「発見された日本の風景 美しかりし明治への旅」を開催します。明治時代の日本の様子を描いた絵画200点以上をご覧いただきます。作者は、当時の日本に旅行した西洋人画家たちと、同時代の日本人画家たちです。日本が西洋の近代文明を取り込もうとしていた時代、画家たちも西洋の技法や表現を学び取ろうとしていました。西洋からの旅行者たちは、西洋とは異なった日本の自然や文化に心惹かれて絵に描いたわけですが、日本人たちの側も、技法や表現とともに西洋人の「眼」をも学び取るようにしながら、自分たちが馴染んできた環境や生活を見詰め直して絵に描いたのです。
いくつか作品をご覧いただきましょう。
まずは、アルフレッド・パーソンズ《日光中禅寺湖の宿》。

アルフレッド・パーソンズ《日光中禅寺湖の宿》 水彩/紙
日光は多くの外国人たちが訪れる国際観光地でした。日光東照宮の絢爛豪華な建造物は日本を代表する文化遺産となり、中禅寺湖畔の宿は美しい自然の景色によって旅行者たちを魅了しました。この作品を描いたパーソンズは英国の著名な風景画家・水彩画家で、彼の風景画は当時の日本の青年画家たちに感銘を与え、水彩画の大ブームを引き起こしました。
次に、笠木治郎吉《提灯屋の店先》。

笠木治郎吉《提灯屋の店先》 水彩/紙
明治の横浜には外国人居留地があり、そこに滞在していた西洋の人々は、日本のみやげものとして、日本の風景や風俗を描いた絵を買っていました。横浜で活動していた日本人画家たちはそのための作品を制作していました。この作品の作者である笠木治郎吉もそうした画家の一人です。厚みのある色彩による人物表現は生命力に富み、現代の日本人にも強烈な印象を与えるものとなっています。
最後に、丸山晩霞《川辺の宿》。

丸山晩霞《川辺の宿》 水彩/紙
西洋から日本へ来た旅行者たちを魅了したのは、花の豊かさでした。もともと日本では園芸が盛んで、東京には花屋敷や百花園など花の名所がいくつもありました。大都市だけではなく日本中どこでも、美しい花々が栽培され、旅行者たちの目を楽しませました。
このように、明治の日本を描いた内外の画家たちの作品を通して、当時の日本を旅してみようというのが今回の展覧会です。西洋から来た画家たちが新鮮なものとして発見し、彼らの画法と「眼」を学んだ日本人画家たちも新鮮な眼で再発見した明治の日本の風景と文化を伝える作品の数々は、現代の日本人から見ても新鮮な発見となることでしょう。
京都国立近代美術館
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
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- 開館時間
- 火~木曜日、日曜日 9:30~17:00
金・土曜日は20:00閉館(入場は閉館30分前まで) - 休館日
- 月曜日、9月21日(火)
※ただし9月20日(月・祝)は開館
- 観覧料
- 一般1,200円(1,000円)、大学生500円(400円)
※( )内は20名以上の団体料金および夜間割引(金・土曜午後5時以降)※高校生以下・18歳未満は無料※心身に障がいのある方と付添者1名は無料※母子家庭・父子家庭の世帯員の方は無料
- ホームページ
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https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2021/443.html