2026年8月28日
版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト
国立西洋美術館学芸課主任研究員 中田 明日佳
本展は、レンブラントの版画制作における様々な挑戦と、それがのちの世代までいかに継承され、インパクトを与えたかを見る企画です。
1606年、オランダのライデンに生まれたレンブラントは、《夜警》(アムステルダム国立美術館、アムステルダム市より寄託)などの大作で知られる17世紀オランダを代表する芸術家です。画家としての活動のかたわら、版画制作にも情熱を注ぎました。
当時のヨーロッパで普及していた版画技法のうち、彼が取り組んだのは、原版を作るプロセスに金属の腐蝕を利用するエッチング(腐蝕銅版画)というものです。この技法は、17世紀初頭のオランダで歴史的転換期を迎えていました。16世紀以前のエッチングでは、直線優位で、規則正しく、ともすれば単調な線描表現が基本となっていました。
フレデリック・レガメ『エッチングのパリ』誌ポスター、1875年
リトグラフ/青色紙
アムステルダム、レンブラント・ハウス美術館
ところが17世紀初頭、オランダの作家たちの中から、伝統を逸脱する自由な表現を試みる動きが現れます。レンブラントは自身もそこに参入し、やがて牽引者としてエッチング技法の可能性を拓いていきました。
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン
《窓辺でエッチングを制作する自画像》1648年
エッチング、ドライポイント、ビュラン/中国紙
アムステルダム、レンブラント・ハウス美術館
スケッチ風の自在な線から、面的広がりを表す線のネットワークまで、その表現は多彩さを極めます。ニュアンスに富む陰影のグラデーションを追究する中で、後期には、しっとりとしたインクの滲みを生み出すドライポイントの導入や、和紙など東洋の紙への印刷も頻繁になされるようになりました。
レンブラントは、わがものとした革新的な造形語彙を駆使して、野心的に版画制作に挑み、その作品は、ゴヤやマティス、ピカソを含む後世の作家たち、さらにユゴーやゴーティエといった近代の文豪たちにも重要な感化をもたらすこととなります。
アンリ・マティス《版画を彫るアンリ・マティス》1900-03年
ドライポイント
国立西洋美術館
本展では、こうしたレンブラントの版画制作における様々な挑戦と、その継承、インパクトを、版画作品はもちろん、書籍やポスターなども交えて見ていきます。
出品作品は約130点からなり、レンブラント・ハウス美術館および国立西洋美術館の所蔵作品を中心として、国内外の美術館や図書館、個人コレクターから拝借した作品・資料も含まれます。本展を通して、レンブラントの版画制作がもたらしたインパクトの地理的、時間的スパンの幅広さおよび豊かさを実感いただければ幸いです。
版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト
2026年7月7日[火]-9月23日[水・祝]
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2026rembrandt.html![]()
一般¥2,200, 大学生¥1,300, 高校生¥1,000, 中・小学生 無料
※中学生以下、障害者手帳*をお持ちの方とその付添者1名は無料(入館の際に学生証等の年齢の確認できるもの、障害者手帳等をご提示ください)
*対象となる手帳:身体障害者手帳・ 療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳
国立西洋美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園7番7号
- ホームページ
- https://www.nmwa.go.jp/jp/

- お問合せ先
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 交通
- JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分
京成電鉄京成上野駅下車 徒歩7分
東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅下車 徒歩8分
※美術館には駐車場はございません。来館の際は公共交通機関をご利用ください。 - 開館時間
- 2026年7月7日[火]-9月23日[水・祝]
9:30~17:30(金・土曜日は~20:00)
※入館は閉館の30分前まで - 休館日
- 月曜日(ただし、9月21日[月・祝]は開館)
