2026年9月29日
世界に名を轟かす日本映画の名匠、初の回顧展――「没後70年 映画監督 溝口健二」
国立映画アーカイブ 特定研究員 藤原征生
『露営の歌』(1938年)撮影スナップ(左から三番目が溝口健二)
国立映画アーカイブ所蔵
映画の誕生から130年が経った現在、日本映画は海外の映画賞でノミネートや受賞を果たすなど世界中を席巻しています。
国立映画アーカイブにて8月11日より開催中の「没後70年 映画監督 溝口健二」は、世界の映画史に大書される日本人監督のひとり溝口健二(1898-1956年)にスポットを当てた展覧会です。
妥協を許さない完璧主義の作風、そして長回し撮影を多用した流麗な演出によって知られる溝口は、『西鶴一代女』(1952年)『雨月物語』(1953年)『山椒大夫』(1954年)が3年連続でヴェネチア国際映画祭に入賞し、フランスのヌーヴェル・ヴァーグの作家たちから惜しみない讃辞を送られるなど、存命中から国際的な評価を獲得しました。
『西鶴一代女』(1952年)ポスター
国立映画アーカイブ所蔵
世界的な知名度を誇る日本の映画監督と言えば、溝口と同時代に活躍した黒澤明(1910-1998年)や小津安二郎(1903-1963年)の名を挙げることもできます。
黒澤や小津については、当館にて開催された「生誕百年 映画監督 黒澤明」(2010年)「小津安二郎の図像学」(2013年)「脚本家 黒澤明」(2022年)をはじめ、これまで様々な切り口による展覧会が催されました。
一方で溝口については、上映こそ多く行われてきたものの、展覧会という形でその功績を振り返る機会は持たれずにきました。その意味において、本企画は映画監督・溝口健二を展覧会として正面から取り上げる試みとして意義あるものと言えるでしょう。
「没後70年 映画監督 溝口健二」チラシ
展覧会は溝口の映画人生を「日活向島時代」「日活京都時代」「第一の黄金期」「第松竹時代――戦中から戦後へ」「第二の黄金期――大映京都時代」「国際的評価」の6つの章に区切ってたどります。各章の合間には、溝口映画を彩った脚本・美術・撮影・音楽の4つのスタッフワークに注目し、依田義賢(脚本家)、坂根田鶴子(助監督、記録)、水谷浩(美術監督)、宮川一夫(撮影技師)、早坂文雄(作曲家)ほか溝口組スタッフたちの旧蔵品をひもとく特集コーナーも設け、さまざまな角度からその芸術に迫ります。
『浪華悲歌』(1936年)ポスター
国立映画アーカイブ所蔵
展覧会では、国立映画アーカイブの所蔵資料のみならず日本各地の資料館や個人が所蔵する溝口組スタッフの旧蔵品を一堂に会して、映画監督・溝口健二の足跡をご紹介します。
また会場には、失われた作品『浪花女』(1940年)をスチル写真で再構成した映像展示や関連作品の音楽展示をはじめとする各種デジタル展示も多く揃え、単なる資料展に留まらない多彩な内容となっております。日本映画を代表する名匠の芸術に迫る初の本格的回顧展にどうぞご注目ください。
国立映画アーカイブ
企画展「没後70年 映画監督 溝口健二」
2026年8月11日[火・祝]-12月13日[日]
会場:7階 展示室
〒104-0031 東京都中央区京橋 3-7-6
- 問合せ
- ハローダイヤル 050-5541-8600
- 交通
- 東京メトロ銀座線京橋駅出口1から昭和通り方向へ徒歩1分
都営地下鉄浅草線宝町駅出口A4から中央通り方向へ徒歩1分 - 開館時間
- 11:00am-6:30pm(入室は6:00pmまで)
※10月30日の金曜日は11:00am-8:00pm(入室は7:30pmまで)
※詳細はHPをご確認ください。 - 休館日
- 月曜日、10月6日[火]-11日[日]、11月24日[火]-29日[日]、
- 観覧料
- 一般:600円(480円)/大学生、65歳以上、高校生以下及び18歳未満:300円(240円)/障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズ:無料
※( )内は20名以上の団体料金。詳細はHPをご確認ください。
※2026年11月3日[火・祝]「文化の日」は、無料でご覧いただけます。 - ホームページ
- https://www.nfaj.go.jp/exhibition/ /

