2016年8月1日
四年に一度,巨大な龍蛇が練り歩く
雨乞いのまち鶴ヶ島
鶴ヶ島市教育委員会生涯学習スポーツ課文化財担当主幹 蓜島康之
脚折雨乞とは
脚折雨乞は鶴ヶ島市を代表する民俗行事です。
竹と麦わらで巨大な龍蛇を作り,それを担いで白鬚神社から雷電池まで練り歩きます。龍蛇は,神社を出発する前に宮司の入魂の儀により龍神となります。長さ36m,重さは約3tあり,約300人が担ぎます。
龍神は木立の中から雷電池に現れ,池の中に入ると「雨降れたんじゃく,ここに懸かれ黒雲」と叫びながら勇壮に動き回ります。クライマックスでは龍神を担ぎ手全員で解体。頭部に付けられた金色の宝珠を,われ先にと競って奪い合う様は,とても豪快で見る者を圧倒します。

木立の中から現れる龍神

池に入った龍神
脚折雨乞の伝承
脚折雨乞の起源は江戸時代にまで遡ります。明治時代の記録によると,「雷電池のほとりの脚折雷電社に雨乞いをすると,必ず雨が降った。しかし寛永の頃,池を縮めて田を作ったため,元々棲んでいた大蛇がいなくなり,雨が降らなくなってしまった。そこで板倉雷電神社で降雨祈願をして池の水を持ち帰ると,見事に雨が降り始めた。」とされています。

昭和20年代の雨乞
地元住民のちから
脚折雨乞は,昭和30年代半ば頃から行事の担い手である専業農家の減少など社会環境の変化により,昭和39年(1964)を最後に一度途絶えてしまいます。しかし,昭和50年(1975)に雨乞いの持つ地域の一体感を再認識した地元脚折地区住民が,『脚折雨乞行事保存会』を結成し,翌51年,脚折雨乞を復活させました。その後,昭和54年(1979),昭和59年(1984)に実施し,それ以降は,4年に一度行われるようになりました。
「脚折雨乞行事保存会」では,龍蛇の骨組みのつくり方や目,鼻等,竹細工の講習会等による「技」の伝承,子ども達が担ぐ「ミニ龍蛇」の作成など,後継者育成にも力を注いでいます。
こうした努力により,脚折雨乞は我が国の「雨乞い」を知るうえで貴重な行事と認められ,国選択無形民俗文化財に選択されています。
脚折雨乞行事の情報
- 行事開催場所
- 白鬚神社~雷電池児童公園
- 日時
- 平成28年8月7日 ※夏季オリンピック開催年の8月第1日曜日
午後1時00分~午後5時00分 - 問合せ
- 鶴ヶ島市教育委員会生涯学習スポーツ課文化財担当
℡ 049-285-2194(直通) - 交通
(自動車)関越自動車道 鶴ヶ島ICより5分
圏央道 圏央鶴ヶ島ICより7分(鉄道)白鬚神社 東武東上線「坂戸駅」より徒歩25分
雷電池 東武東上線「若葉駅」より徒歩15分