2016年6月7日
教材ボックス~好奇心をくすぐるために~
大分県立美術館 教育普及グループリーダー 榎本寿紀
「モノを見るのって楽しいよね?」,そんな気持ちをみんなに持ってほしいとの願いから,大分県立美術館の教育普及では「びじゅつって,すげぇ!」をキャッチフレーズに様々な活動を行っています。大切なのは,朝露が宝石に見えるとか,雲の形が面白いとか,身の回りに在る「美」を発見すること。子供から大人までみんなが身の回りのいろいろな「美術」とそれが「すごい」ことに気がつけば,とってもステキなことです。それができれば美術作品に出会ったとき,見方や楽しみ方も一層膨らむことでしょう。そこで私たち美術館の活動が,自分の視点を持ってモノを視るきっかけとなればと思っています。
教材ボックス
モノを見るのが楽しくなると自然と足が美術館に向く。そして自分の視点でモノを視る。そのための一つとして,好奇心を刺激しながら大分県の地域資源を再発見する教材ボックスを作りました。この教材ボックスは自然・環境・風土・歴史・文化を美術的視点でとらえて作ったもので,四つのテーマで構成され,地域で集めた石や土の鉱物,植物,貝殻などの実物標本,素材や道具,所蔵作品に関連した画像や資料などからなり,一つ一つがキレイに見えるようにビジュアル的に収めています。
教材ボックス(実物標本)
通常は来館者がいつでも見られるように展示していますが,ワークショップやレクチャーでは一層活躍しています。特に仕事や学校の帰りに,気軽に美術館へ立ち寄ってほしいと思って始めた「夜のおとなの金曜講座 お話から体験まで」では,「視るは楽しい教材ボックス」「大分県から絵の具をつくる」「美術からみた文化」「素材と技術」という四つのテーマから教材ボックスをめぐる講座を開催し,あるときはお話を中心に,またあるときには素材に触ったり,制作もしたりしています。参加者の方からは「実際に材料に触れて,話を聞きながら,つくるのは楽しかった」「目隠しをして布を触るなんて…面白かったです。ふだん意識しない感覚を研ぎ澄ますというのは,良い経験となりました」などの感想を頂き,今では癒やしの時間として仕事帰りだけでなく,車で1時間以上もかけて毎週参加する方々も増えました。
「視るは楽しい教材ボックス」 石の引力・鉱物
「視るは楽しい教材ボックス」 肌触り・触覚の覚醒
現在この教材ボックスは,講座に参加している人たちや美術館サポーターと一緒に,中身を充実させるために制作進行中です。そして今後はアウトリーチ・プログラムとして,大分県内の様々な地域に持っていき,より多くの人に見ていただくとともに,そこで出会った人たちとも作っていきたいと思っています。
大分県立美術館
(住所)〒870-0036
大分県大分市寿町2番1号
- 問合せ
- 097-533-4500
- 交通
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- ・JR大分駅府内中央口(北口)から徒歩15分
- ・JR大分駅前7番乗り場から,大分交通バス 青葉台線(田室町経由)23番,24番/県立図書館線(田室町経由)3番/スカイタウン高崎線(西春日町経由)8番に乗車,「オアシスひろば前」下車徒歩すぐ
- 開館時間
- 10:00 - 19:00(入館は18:30まで)
金・土曜日20:00まで(入館は19:30まで) - 休館日
- 原則無休(館内点検等による臨時休館を除く)
- 観覧料
- コレクション展
一般300(250)円 大学生・高校生200(150)円- ※( )内は20名以上の団体料金
- ※中学生以下は無料
- ※高校生は土曜日に観覧する場合は無料
- ※県内の小学・中学・高校生(これらに準ずる者を含む)とその引率者が教育課程に基づく教育活動として観覧する場合は無料
- ※障がい者とその付添人(1名)は無料
- ※企画展は別料金
- ホームページ
- http://www.opam.jp/