2016年9月12日
全員参加!お客様の立場に立った展示のふりかえり
~なるほど!へえ~!すごいね!の展示を目指して~
(公財)鹿児島県文化振興財団 上野原縄文の森 事業課 学芸員 古江 真美
縄文時代を最初に学習するのは,小学校6年生。当園のお客様も小学校の遠足利用や,小学生を含む親子が中心です。その中で,子供たちにわかりやすく,楽しめる展示になっているか,親子で学べる展示になっているか,一般の観覧者にやさしい展示であるかが課題でした。
そこで,お客様の「また来たい!」という思いにつなげることを目標に,その第一歩として,「なるほど!へえ~!すごいね!の展示をつくりたい」を合い言葉に展示を見直すことから始めました。

まずは,お客様の立場に立って
展示を見学します

意見やアイデアを
3色の付箋で出し合います
最初に行ったことは,お客様の率直な感想や疑問に気づき感じ取るため,職員全員(総務課職員やアテンダント等も含めて)で,お客様の立場に立って展示を見学し,その後,展示レイアウトや展示方法,パネルやキャプションの工夫等について,「いいね!(水色)」「なぜ?(黄色)」「こうしたら?(ピンク)」という3つの項目に分け,意見やアイデアを,付箋を活用して自由に出し合いました。
そのとき,注意したことは,間違い探しや欠点探しにならないようにすること。
建設的な意見をもらうために,具体的にわかりやすく記入するように呼びかけています。「こんな意見もあるんだ」「こんないいところがあるならお客様にここをおすすめしようかな」など,他の職員の意見を職員間で共有し,全職員が展示に関わっていくという意識の変化にもつなげています。

職員から出てきた情報を,整理・分類

どのような手法で改善していくか検討中
次に,出された意見やアイデア,情報をもとに,どうすれば更に良い展示となるのか,まずは何から実行できるのかを学芸担当職員間で話し合います。全職員からの「なぜ?」「こうしたら?」の付箋の意見を大切にしながら,子供たちや一般の方にも興味をもって見てもらえるように,イラストや図,写真等を積極的に取り入れて,わかりやすく解説したり比較して見せたりするなど工夫しています。

職員の意見を反映した展示

お客様の様子をよく観察して「ひと声アクション」
更に新しく始めたことが「ひと声アクション」です。
「ここにも注目してみてね」など,職員はお客様を観察しながら呼びかけてみます。そこで注意してもらっているのは,対話を楽しむこと。現場の職員からは「声かけのタイミングが難しい」など戸惑いの声もありますが,教えることや解説することではなく,お客様の「気づき」の手助けをし,寄り添い共感することで,展示を見る楽しさを感じてもらえるように一人一人に工夫してもらっています。
お客様へのさりげない声かけのおかげで,「このようなものが作れるなんて昔の人は器用ね」「教科書に載っているのとまた違うね」など,驚きや発見の言葉を拾うことができています。

「ふりかえシート」に記入

掲示して全職員で共有します
また,職員の声かけやお客様の反応などの情報を職員間で共有するため「ふりかえりシート」に記入し,事務室内に掲示しています。そうすることで自分の取組を見直し,他の職員の工夫も知ることができます。それぞれの職員の「次はこうしたい」に役立っています。
これらの活動は,まだ始めたばかりです。この活動に完成形はありませんし,意識しないと活動に温度差がでる(疎かになる)など課題もありますが,園全体でさらなる改善に向けて試行錯誤を繰り返しながら,お客様に「今度はこの人のおすすめを聞いてみたい」「この人とお話してみたい」と思ってもらえるよう「ひと声アクション」をきっかけに,展示の対話,共感,伴走を通して,お客様の笑顔と「また来るね」のひと言をいただけるよう,これからも活動を続けていきたいと考えています。
公益財団法人 鹿児島県文化振興財団 上野原縄文の森
(住所)〒899-4318
鹿児島県霧島市国分上野原縄文の森1番1号
- 問合せ
- 0995-48-5701
- 交通
- 九州自動車道溝辺インターから車で約40分,東九州自動車道国分インターから車で約15分,鹿児島空港からバスでJR国分駅まで約25分,更にJR国分駅から車で約20分
- 開館時間
- 火曜日~日曜日 9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日
- 毎週月曜日(休日に当たるときは,その翌日)(4/29~5/5,8/13~8/15は無休),
12/30~1/1(年末年始),2月中旬(臨時休園) - 観覧料
- 大人¥310(¥240), 大学生・高校生¥210(¥160),中・小学生¥150(¥120)
( )は,団体料金20名以上 ※展示館内の展示室・シアターのみ有料 - ホームページ
- http://www.jomon-no-mori.jp