令和元年7月22日
一緒に「わくわくした感動」を体験できる
プラネタリウムを目指して
葛飾区郷土と天文の博物館 学芸員 新井達之
国内には300を超えるプラネタリウムがあるそうです。博物館・科学館はもちろん,学校にも,様々な公共施設にも,さらには商業施設,空港,お寺,ホテル,客船などなど,いろいろな場所にいろいろなタイプのプラネタリウムが設置されています。

葛飾区郷土と天文の博物館の外観。平成3(1991)年7月開館
そんな中で,私たち葛飾区郷土と天文の博物館は,「ミュージアムらしいプラネタリウム」にこだわりながら運営してきました。
まずは,「オリジナルにこだわる」ということ。
最近ではプラネタリウムの番組も映画のように全国配給されこともあるのですが,私たちが目指すのは,博物館の企画展と同じスタイル。つまり,企画・資料収集・構成・演出・制作・プログラミングまでを博物館の専門職員が中心になって行い,オリジナリティのある番組作りを行ってきました。
そのため,近くの方だけでなく,全国から,わざわざ「当館でしか見られない番組」を観に来てくださるお客様も少なくありません。

番組制作の様子。プログラミングも全て博物館職員が行います
次に,「データの可視化にこだわる」ということ。
天文分野は実物資料の展示が難しく,ひと昔前のプラネタリウムで紹介できるのは,星空の他は,写真などの映像資料だけでした。しかし,コンピューターが発達した現在では,観測データという「資料」を可視化し,ドームの中で観測された宇宙を「体験」できるようになったのです。そこで,内外の研究機関の様々なデータや映像を積極的に取り入れ,最新の宇宙の姿を感じられるような番組作りを心がけています。

探査機の観測データに基づいて可視化した
「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」

全国のプラネタリウムと協力して制作した
「はやぶさ2」の3Dモデルデータ
そして,「生の解説を通して,観客とのコミュニケーションにこだわる」ということ。
当館のプラネタリウムでは,星空の紹介はもちろん,宇宙の話題も全て,解説者が生で解説するようにしています。その時々のお客様の層や雰囲気などに合わせながら,暗闇の中でお客様とコミュニケーションしているのです。
例えば,プラネタリウムでおなじみ,街の灯を消して満天の星が現れるシーン。
「うわぁ,何…これ! はぁぁ…ちょっと,むっちゃくちゃ凄くないですか?!」
みたいに,観客とともに驚き,息をのみ,自分の言葉で心から感激しながら語ることで,観客の感動がさらに膨らんでいきます。

プラネタリウムの解説は全て生のナレーションで行われています
宇宙について解説するときも同じ。宇宙の途方もない時間と空間のスケール,ブラックホールなど身近な常識では考えられない天体の存在,そしてそれを解き明かしつつある人間…。よく考えたら,すごくわくわくすることばかりです。
そこで,こうしたことを心から感激しながら解説するようにしています。すると,暗闇の中から確かに伝わってきます。お客様も宇宙の姿に息をのみ,一緒に感激している様子が。

解説を通して宇宙のわくわくした感動を伝えています
小さなお子さんが多いときは,問いかけると声が帰ってくるので比較的コミュニケーションしやすいのですが,大人のお客様だとそうはいきません。でも,さりげなくダジャレを交えて笑っていただいたり,感動の度合いに合わせて拍手をしていただいたりといったことを通して,一緒に星を見ている雰囲気を作っています。客席にある回答ボタンでアンケートやクイズをしながら,お客様とやりとりすることもあります。
私たちがプラネタリウムで伝えたいのは,情報や知識だけではありません。星を見上げたときや,宇宙のことを知ったときの「わくわくした感動」を伝えたい。だから,ドームの中で一緒にわくわくするよう心がけているのです。
お客様からは「一緒に体験しているみたい!」とか「宇宙って本当にヤバイと思った!」といったコメントをよく頂きます。星空や宇宙を一緒に体験している人が発する言葉には,録音されたナレーションにはない臨場感・一体感・説得力があるからだと思います。
いかがですか。葛飾区にお越しの際には,プラネタリウムの中で一緒に星や宇宙を体験しながら,一緒にわくわくしてみませんか!? 皆さんのお越しをお待ちしています。

葛飾区郷土と天文の博物館のプラネタリウム(ドーム径18m・140席)
葛飾区郷土と天文の博物館
(住所)〒125-0063 東京都葛飾区白鳥3-25-1
- 問合せ
- 03-3838-1101
- 交通
- 京成本線 お花茶屋駅から徒歩8分
JR常磐線各駅停車 亀有駅から徒歩25分 - 開館時間
- 火曜日~木曜日 9:00~17:00
金曜日・土曜日 9:00~21:00(祝日は9:00~17:00)
日曜日・祝日 9:00~17:00
(入場は閉館30分前まで) - 休館日
- 毎週月曜日,毎月第2・4火曜日,年末年始
- 料金
- 入館料 大人100円 小中学生50円
プラネタリウム観覧料 大人350円 小中学生100円 幼児50円
※土曜日は中学生以下の入館料・プラネタリウム観覧料は無料。 - ホームページ
- http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/