2020年9月30日
臨時休館と学校休校をきっかけに始まった
「おうちミュージアム」とは?
北海道博物館 学芸員 渋谷美月
2020年2月末ごろ,新型コロナウイルス感染拡大の影響で,幼稚園・学校は長期休校や分散登校となり,いつも通りにお出かけすることもできなくなってしまいました。同じ頃から,全国のミュージアムの多くも長期の臨時休館となりました。「おうちミュージアム」は,そのような状況をきっかけに始まりました。おうちで長い時間を過ごす子供たちのため,ミュージアムがこれまでやってきたことを活かして,“おうちで楽しく学べる”アイデアをオンラインでお届けする取り組みで,全国のミュージアムが参加しています。
たくさんのミュージアムが手を組んで「おうちミュージアム」としてまとまって発信することで,よりワクワクする形で多くの子供たちにお届けできるのでは?と考え,北海道博物館から全国のミュージアムに「『おうちミュージアム』として一緒に発信しませんか?」と声をかけました。3月4日に始めてから,口コミや新聞,SNSなどによって,全国44都道府県の215のミュージアムに広がりました(8月31日時点)。北海道博物館のウェブサイト内にあるおうちミュージアムのウェブページでは,参加するミュージアムが一覧で見られるようになっています。

参加するミュージアムと共有して使っているロゴマーク
いわゆる“博物館”だけでなく,美術館や科学館,企業のミュージアム,自然・生物系のセンター,あるいは市町村の教育委員会といった組織など,いろんな背景を持つ幅広い分野の"ミュージアム"が「おうちミュージアム」に取り組んでいます。全国のおうちミュージアムをめぐりながら,それぞれのミュージアムの特色を楽しんでもらえれば嬉しいです。
北海道博物館では,これまでに行ったワークショップや企画展のイベントをもとに,自宅でも楽しめる形にアレンジした工作やゲーム,レシピなど,全29種類を公開しています(8月31日時点・これからも追加していきます)。

2015年の企画テーマ展「北海道のアンモナイトとその魅力」の関連イベントでつくった,北海道博物館オリジナルのアンモナイト折り紙。おうちミュージアムではその折り方を紹介しています。

江戸時代の終わりごろの北海道を6回も旅してまわった松浦武四郎。武四郎が当時の北海道のようすを人々に知ってもらうためつくったすごろくに現代語訳をつけました。「新板蝦夷土産道中寿五六」(1864(元治元)年刊 北海道博物館蔵)より
おうちミュージアムをきっかけに,これからのミュージアムの活動のヒントがたくさん見つかりました。例えば,佐賀県の利用者から「国内には事情があり不登校や自宅学習をしている子供が大勢おり,家でこのようなコンテンツと触れ合い遊べることは,当事者の子供やご家族にとってとてもありがたいことだと思います。」といったメールを頂きました。ミュージアムに足を運ぶことが難しい方々にも,ミュージアムに関わり楽しんでもらうためには,どんなことができるだろう?という課題への気づきになりました。
おうちミュージアムは,コロナ禍の学校休校とミュージアムの臨時休館の状況から生まれましたが,感染が終息したあとにどんなことができるかということも考えながら,活動を続けていきたいと思っています。参加するミュージアムのみなさんと意見やアイデアを交換しながら,一緒になっておうちミュージアムのより良いかたちを探っていきますので,これからもぜひ御注目ください。
おうちミュージアム ウェブページはこちら
(全国のおうちミュージアムの一覧もこちらから御覧いただけます)

北海道博物館
(住所)〒004-0006 北海道札幌市厚別区厚別町53-2
- 観覧時間
- 9:30~17:00(5〜9月)
- 9:30~16:30(10〜4月)
- ※入館は閉館の30分前まで
- 休館日
- 毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は直後の平日),年末年始(12/29~1/3),ほか臨時休館あり
- ※2020年度の臨時休館は12/17(木)・18(金)
- ホームページ
- http://www.hm.pref,hokkaido.lg.jp